他に、好きな人が出来たと伝えられた。
あぁ、そう……と返して家を出ると
チャージしていないSuicaで改札を抜ける。
帰るつもりだった、
嘘だよって、言ってほしかった。
ガタンゴトンと私を運ぶ電車の中は
やけに生暖かかった。

台風が逃げ去って、２日が経った。
来たときは驚いたし、
音も煩くて嫌だったけれど
隣のやけに綺麗に整頓されたベッドを見て
ボクは心に冷風が通った。

夏草が揺れる夕方
何処からともなく聞こえてくる子供たちの声
居間からうっすらと聞こえてくる天気予報
心地のよい包丁の落ちる音
風情のある日本の夏である

暗転

ぼーっというエアコンの心地よい風
パソコンのスピーカーから流れる笑い声
お昼何が良い？と聞いてくる両親
塗り立てのネイルは艶やかでやたらと目に入る
風情かどうかは知らないが
心地のよい現代の夏である

あなたは誰なの？
私は、誰だっけ。

あなたは幸せ？
私は幸せよ。

あなたは、
あなたは私なの？

終点は此処が良い
やっと自由に暮らせて
仲間という形の部下も出来て
満足している
ずっと続いてほしい
だから、頼むから
もう来ないでくれ