いちさん(えいのーと)

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1/18/2025, 11:48:53 AM

手のひらの宇宙

※土日祝はお休みです。

1/17/2025, 3:03:22 PM

風のいたずら


風のいたずら。
昔、これに近いタイトルのえっちな動画を見てしまったことがある。

きっかけは切り抜き動画だった。
風が吹き、女子のスカートの裾がめくられていく。
その瞬間だけ幾つもいくつも繰り返される。

何だコレと思い検索をかけたらタイトルがわかった。
スカートがめくれるパターンがあまりにも多かったので
何パターンあるのか気になり切り抜き動画を
周りまくったが、
本体は未成年なので買う勇気がなかった。
検索をかけて出てきたアダルトサイトが生々しすぎて
自分にはまだ早いとブレーキがかかったのだ。

見たいけどまだ早い。
欲求を理性で押さえつけたが、大きな弊害が生まれた。

それはつまり。


気になるあの子のぱんつが見たい。
えっちな動画本体から興味がリアルに移ってしまった。

征服の裾が気になる。
階段を登っている時見てはいけないという気持ちと、
ひょっとしてと期待してしまう自分が嫌になる。
強い風が吹いた時など平静でいられない。

見たいのだが、同級生が同時に目撃するのは嫌なのだ。

彼女は好きだ。まっすぐな背中も、綺麗な髪も
友達に向かい笑う顔も、真剣に授業中を聞いてる姿も
全部全部好ましい。

そんな素敵な存在に下心を向けてしまう自分が嫌だ。


自分、こんなにいやらしい人間だったのか?


自己嫌悪しつつ、スカートを目で追う欲求が止められない。
これがクラスの女子にバレたら人生が終わる。
でもやめられない。


葛藤が壊れる日が訪れた。

移動教室の際、渡り廊下を歩いている時それは訪れた。

少し冷たい晴れた日の午後だった。
少し前を友達と歩いている彼女のスカートの裾を
見ないよう努めるために、
結んだポニーテールの髪の先を見ていた。

ゆらゆら揺れる髪先が綺麗だ。

そんなことをぼんやり思っていたら髪が乱れる。

突風が吹いたのだ。


小さい悲鳴と共に隣の友人とともに
スカートが飜る。



見てしまった。




真っ黒いスパッツを。




そうか、そうだよな。
今時スカートの下がパンツとかファンタジーだよな。
とくに今冬だし、女子がお腹を冷やしてはいけない!
合理的!合理的だ!!


見たかった!という気持ちを打ち消すために
アンダースコートの正当性を
頭の中に捲し立てる。



見たかった、でも見なくてよかった。
もしも。
もしもスカートの下にスパッツを履いていなかったら。


自分は彼女の顔を
二度と見ることができなくなってなっていただろう。



だからこれで良いんだ。


まだ心の片隅で、でも本当は見たかったろ?と
呟く自分がいる。



だから!黙れ!!




しばし自分の思考と格闘することになり、
友人達から奇妙な眼差しを送られた。



















1/16/2025, 12:16:51 PM

透明な涙


※体調不良のためお休みします。

1/15/2025, 12:59:06 PM

あなたのもとへ


毛穴の大きさ気にしてる?
メイク方法で検索かけたね。
お、君ダイエットで検索かけたね。
AGEに悩んでる?育毛剤の検索かけたね。

そんなあなたのもとへ
コンプレックスを刺激する画像をあげよう。

毛穴を気にしてる人にはありえないほどのいちご鼻を。
ダイエットしようとしてる人には醜い腹のデブスを。
AGEにはスカスカの髪で老けて不幸な顔を。


追跡型広告をオフにしない情弱は多い。

醜くてこんなに不幸!という情報を視界に入れた時、
反射的にこう思うはずだ。
“こんなふうになりたくない!”と。
そして、でも大丈夫!
誰にもバレず簡単に解決できますよ!
今ならお安くできます!
という謳い文句に誘われる。

そして効果のない商品を買うことになるんだ。


こんなもん騙される奴いないと思うかもしれないが、
ネット広告のアルゴリズムを知らないまま
スマホ利用してる奴は多い。
そして案外人は引っかかる。


今日も一人馬鹿から注文が入った。


未成年か。



親がまともだとクーリングオフされそうだが、
今時この手の広告の仕組みも教えられてないとは
親も情弱か放置子なんだろう。



まあ、こういう奴らのおかげで
我々は儲かる。


ありがたいありがたい。


パンパンと。


注文をくれたお馬鹿さんへ手を叩いて拝んだ。










1/14/2025, 1:45:27 PM

そっと



クラスメイトに綺麗な子がいる。

顔が綺麗なのは当然で、
長い髪をきちんと切りそろえていて、
背中もピンと伸びていて、
先生にバレない程度にメイクしてる。

土台が違うから自分が何しても無駄だと思っていたが、
ある日を境に彼女の友達もなんだか
うっすら綺麗になっていた。


え?何??


その子は失礼だが元々綺麗なわけじゃない。
眉太いし、足も太いし、日焼けしてるし、
目も一重で癖毛だ。

密かに同類という勝手な仲間意識を向けていたけど、
最近”この子こんなに可愛かったっけ??”
と感じる回数が増えた。


前の顔をよく見ていたわけじゃないから、
何が変わったのかよくわからない。


恋をしたとか?ホルモンの関係??


一人で悩むより聞く方が早い。


数日悩んで、コンビニで少し高いチョコレートを買い、
一人の時を狙って聞いてみた。


「唐突でごめんなんやけど、
原木さん最近急に綺麗になってない?なんか変えた?」


ただとは言わん!これ情報料!!
特別な時にしか食べない可愛い箱のチョコレートを
押し付けて、言ってしまってから後悔した。

自分、ただの変な人や。



我に返りここから何を修正したら誤魔化せるか
必死で頭を回していると、
のんびりとした声が返ってきた。


「え、気づいてくれたん?嬉しい」



顔を上げると、花が咲いたように笑う
クラスメイトがいた。

曰く。
いつも一緒にいる子がすごい可愛い。
元が良いから可愛いのだと思っていたら
薄くメイクしてることに気が付いた。
自分もメイクしたら可愛なれるかと思い
こっそり試してみたがうまくいかなかった。
友達に聞くのも恥ずかしいから
ネットで動画検索してスキンケアの大切さを知った。



「うちなあ、今まで顔洗ったらおしまいで、
スキンケアとかよう知らんかったし、
顔剃りもしとらんかったし、眉も眉間剃るだけで、
髪の毛も高温でばーっと乾かしとったんよ

あやねちゃんが可愛いのは普段からきちんとしとるからやったんやなー、あやねちゃんすごいなーおもて」


友達がすごいから見習いたくなった。
全部は無理だからとりあえずスキンケアと
眉毛頑張ってる。
でも誰も何も言わないから、自己満足だと思ってた。
自分が頑張っても無駄なんじゃないかと少し悩んでた。
言ってくれてありがと!
これ美味しいチョコやよね?半分こしよ?

そうやってにっこり笑う彼女は
上部ではない心の綺麗さで輝いていた。

同類とか思っててごめんなさい。
心の中で詫びた。


心の美しさはかなわなくても
容姿の点では似たようなものだ。

彼女の話はとても役に立った。
学校の帰りに薬局でカミソリを買い、
眉カットで動画検索をした。
化粧水や乳液は肌によって使うものを変えた方が
良いらしいのでとりあえず保留にした。

自分も今まで似たような感じだった。
ブスは何してもブスだと思って放置してた。
でも同類と思っていた子は変に捻くれず
素直に綺麗になる努力をはじめて成果が出てる。

ならば自分も努力スレばうっすら綺麗くらいには
なれるはず!

顔を洗い、母のオールインワンクリームを
少し借りて顔に塗る。
ヌルヌルしてて少し変な感じだ。

動画をいくつか見た後で鏡を覗く。
毛穴が目立つ、ニキビが汚い。
鼻の下の産毛が濃い。
あまり直視したくない顔に向かい合い、
先ほど見た動画の内容を思い出しながら、
眉毛にあたりをつける。
慎重に、少しだけ。

ぬるり。そしてぞり。


クリームの影響で手が滑り、
嫌な感覚が刃先から伝わってきた。



そっとしておいて欲しい。


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