5/31/2023, 9:48:51 AM
ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。
チャイムの音が鳴った瞬間、一気に教室中にざわめきが広がる。
-あーほんと疲れたわ
-ねえ、帰りにここ寄ってかない?
-早く部活行かないと
みんな思い思いの言葉を口にする。
そんな中、私は立ち上がりそっと教室を出る。
早歩きで校門に向かいそのまま駅の方まで歩き始める。今日はやけに暑く感じる。
その時後ろから、女子高生たちの声が聞こえてきた。
-ねえ、アイス食べに行かない?
-本当暑くない?
-そんな長袖着てるからでしょ〜
私は足並みを速めて、そのまま走り出す。楽しそうな彼女らの声が妙に耳に刻まれているのを感じながら。
電車のホームに着く。階段の後ろのめったに人が来ない私の隠れスポット。後ろを振り返っても誰もいない。
よかった。今日も1人で帰れる。
人の声がまばらに聞こえる中で、私はホッとする。
今日も1人だ。
-1人でいることを笑われるのが恥ずかしくて、
誰も一緒に帰る人がいないことを認めたくなくて-
そんな現実から今日も逃げてきたのだと
わかっているのに。