これはきっと試練なんだと思う。
最初で最後の。
長編何部作になるんだろう?と思うぐらいの片恋物語。
彼に心を奪われていた期間と同じだけ、忘れる期間も必要なんだと思う。
私の恋路は彼だけのもので幕を閉じる。
後悔はしていない。
たとえ片恋でも、それなりに幸せだった。
私の残りの人生、彼の幸せを祈り、彼への想いを一つずつ消し去ることだけを考えるよ。
お題『恋物語』
かん違い。
気のせい。
思い込み。
愛なんて、存在しないもの。
形にもならないもの。
愛があれば何でもできる?なんてことはない。
そんなものはなくても、できることとできないものがある。
愛なんて、ただのまやかしさ。
お題『愛があれば何でもできる?』
ピンポーン。
年に数回しか鳴らない呼び鈴にため息が出た。
出ずとも誰がきたのかは分かる。
「えー。本日この家は留守となっております。」
「どーでもいいから早く開けろ。暑いんだよこっちは。」
人の家を出張時のホテルと勘違いしている男に言われたくない。
次からは居留守にしよう。そう思いつつ、開錠する。
「なー晩飯食った?」
「ご飯ぽいのは食べてないなぁ」
そう言いつつ、缶チューハイとチーズを見せた。
「その食生活、今すぐやめないと絶対後悔するぜ。」
ほーらまた始まった。オカンな説教。
「ご飯作るから、チーズはやめて、待っておきなさい。」
さてと、オカンな男の料理を待ちましょうかね。
お題『後悔』
「そうね」
気のない返事を隣にいた友達に返す。
いつまで経っても、心はどこかに置き忘れたままだ。
過去に置いてきた心をとりに戻るまで、一体何年かかるのだろう。
「聞いてないな。まだ、あの時のまま?」
私は返事をする代わりに空を見上げた。
雲は風に身をまかせていれば、未来へ連れて行ってもらえるのに、人は心を置いてきたら未来へは進めない。
なんて不公平なんだろう。
私の未来は、あの人のそばに止まったまま。
お題『風に身をまかせ』
つながった、叶った、報われた。
告白した時の相手の反応で、そう確信していた。
だが、1週間が経ち、2週間が過ぎ、連絡のない失われた時間の後、一文だけ連絡。
なんだろう、このとてつもない喪失感は。
私は何年も相手のなにを見てきたのだろう。
何年も何も気づけなかった失われた時間は本当に無意味だったのか、まだわからない。
お題『失われた時間』