あなたとの距離が開くたび
糸は伸びてきた。

あなたと喧嘩するたび
糸はねじれてきた。

あなたと離れた時
糸はもう見えなかった。


引っ張れば端が見えてしまうほど
糸は伸び切ってしまった。

１つの傘、
ふたりの秘密。
２つの傘、
ふたつの秘密。

縮められない距離は物理的なもの?

雨上がり、ジメジメとした空気の中
彼はかけだした。
外が大好きだから、
早く遊びたくて仕方がないと。

雨上がり、ジメジメとした空気の中
彼は泣いていた。
晴れの日を窓から眺めることしかできないから。

あの日の太陽のような笑顔は
雲に覆われて黒く淀んでいる。

不安定な足元にぐらつく世界
また流されるだけなのだろうか。

力のあるものが決めた道を
ただただ真っ直ぐに進む。

抗う勇気がない、それだけ。

視線を送り続けた末
僕は目を逸らした。

気になる彼を
チラチラと見ていた。

どこまでもすれ違う2人は
目があって仕舞えばいいのに。