百加

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1/25/2024, 9:41:14 AM

逆光


光あふれる美しい景色と一緒に、
あなたを撮りたい。
あなたは日射しがよく似合うから。

でも私が光に惹かれて、
近づこうとすればするほど、
あなたは逆光で暗くなり写らなくなってしまう。

私が光に背を向けた時、
初めてあなたがはっきり写るなんて、
なんだか皮肉ね。




#156

1/24/2024, 7:20:22 AM

こんな夢を見た


 昔、職場の先輩だった女性に、
「〇〇ちゃんの結婚式の夢を見たよ」と言われたことがある。

 ぎょっとした。
「ど、どういう夢だったんですか!?」
 彼女と私は特に親しかったわけでもない。その時の私にそんな相手も予定もない。なのになぜ? 
 私が驚いて尋ねても、彼女は笑うだけで相手も内容も教えてくれなかった。何かの予知夢の類じゃないだろうなと、しばらくは気味が悪かった。
 一体どんな夢を見たんだろう。彼女は私のことをどう思っていたんだろう。かなりインパクトのある言葉だった。あれから随分経つけれど、今でも時折思い出す。




#155

1/23/2024, 9:51:00 AM

タイムマシーン


「タイムマシーンがあったらどうする?」
 子供みたいにあなたは笑う。
「そうだね、やっぱり未来が見たいかな」
 地球はまだ青いかとか、
 誰でも月旅行ができるかとか、
 太陽系の外に出られるかとか、
 光の速さを超えて時を飛ぶ、まだ見ぬ未来を二人で想像した。

 でもね、
 もし目の前に真新しいタイムマシーンが現れたとしても、あなたを置いて乗ったりしないよ。
 どんな素敵な未来でも、
 あなたがいないとつまらない。
 グラスのスパークリングワインの泡が光を弾く。
 こんなひとときには敵わないもの。




#154

1/22/2024, 9:27:38 AM

特別な夜


初めからわかっていれば、
ありふれた夜になどしなかっただろう。
あの夜を僕は。
失くしてから気づいて、
どれだけ悔やんでももう帰っては来ない。
あの特別な夜は。

あれから時は流れたけど、消えないんだ。
君の笑顔が瞼の裏に、
君の声が耳の底に、今も。
ずっと、いつまでも。




#153

1/21/2024, 9:59:46 AM

海の底


誰も知らないところへ行きたい。
例えば海の底はどうだろう。
深く深く沈んでいったら、
真っ暗できっと静かだろう。

何も見えなくていい。
目も耳も無くなっても、
あなたに触れていられたらいい。



#152


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