夜空を見てもどれが君だか分からない。
もうずっと。
埃をかぶった星座早見盤を覗いてみたけど君の名前は乗っていないし、そもそも星なんてオリオン座くらいしか知らない。分からない。分かりたくない。
死んだら星になるなんて嘘だ。生きていた時から、話をしていたころから、君は特別だった。星なんかよりずっと特別だった。ひかって見えたのに、綺麗な嘘で塗り込められてから見えなくなってしまった。
人の果ては煙か土だ。星になんかならない。全部子どもだましの嘘だ。だけど、大切なものは君だった。
君のことが大切だったから、目に見えなくなってしまったのだろうか。
夜空を見てもどれが君だか分からない。
もうずっと。
きっと、これからもそうだ。
/君を探して
銀河鉄道直通の日比谷線 カムパネルラになりたかったな
ほんとうの幸いって何だろう
何様なんだろう
世の中に浮かんで消える極論はいつだっていち側面の真実を孕んでいる
だからかれらは魅力的なのかもしれない
それぞれがかがやく多面体のきらびやかな世界 、人が食い潰されるのを目の当たりにしながら、鮮やかな構造に恋をして生きてきた
ケンタウルの祭りを覆う死のかおり、厚顔無恥な成長、苦しみと釣り合わない幸福しか手に入らなくていつも飢えている
誰のことも救えないのなら、早く、あのつめたくてすばらしい天の川の野原へゆきたい
/あなたのもとへ
空が青くて広くて融けたくなること希死念慮って言わないで
めがねを無くしたからめがね無しでめがねを探さなくちゃいけないの
なーんも見えない分からない、きみのこともそうだよ
プラスチックだと思ったあ?ってぱっくり裂けた傷口が語りかけてくる あ絆創膏を貼らなくちゃ、ね、赤信号みたく喚いてうるさいから、
70億とちょっとが寝ころべるたなごころの上で踊るのって何も考えなくて良くって、愉しくて気持ちよくて最高!
早くみんな楽になろうよ、脳みその回転はダンスパーティーには邪魔 、知恵を持つのは知恵遅れの証
世界と貴方と私だけが奴隷なんだ 気まぐれに洪水に呑まれて殺されたい
大事な大事な神様、大きくて暖かい手のひら、うつくしい路傍の花、切り売りされた成長の記録、繰り返した自殺未遂、あたしたちのためのあたしたちの人生を消費しようよ
「神様」さまのホネだけになった脛をしゃぶり尽くす佚楽の果まで一緒にいて 一緒に地獄に落ちて……
/とりとめのない話
(書き散らしのうち1番とりとめのないものを備忘的に)
目に見えないものばかりだ。季節はいつの間にか移ろうし、気圧なんかに気持ちが左右される。大切だったものはなにもかも、目に見えないところへ逃げていく。
1時間かけて巻いた髪を風に攫われる。どこに逃げたって、不自然なアイロンの熱を冷ますような、秋のにおいがする。
目に見えないものなんかに掬われたくない。落ち葉を風がくすぐって、舞い上がる。そうしてまた落ちる。
目に見えないものに左右されて、ただ生きているだけが悲しい。心の質量が大きすぎて、目に見えないものをひとつも信じられなかった。
秋風と冬のそれを切り分けられるようになったら、18年引きずった愛おしくて重たい体を預けよう。いつか燃え尽きる日、灰になって風に乗って、目に見えないくらい細かくなれたら。その日はたぶん、死ぬのにちょうどいい。
/秋風