なめくじ

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3/2/2024, 4:07:04 PM

愛してる。その言葉が最後だった。
他の女と関係を持ち、私の元を離れていった。
金も時間も誰よりも費やしたのに。
彼は私を選ばなかった。私を捨てた。

子を身篭ったとわかったのはその2週間後。
彼との子だ。確信した。

この子がいれば、彼はきっと戻ってくる。
彼は子供好きだったから、
子供が欲しくて他の女に移っただけよ。きっとそう。
私に中々子供が出来なかったから、
余所見してしまっただけよね?許してあげるわ。
私たちの間に子供が出来たと知ったら、
直ぐに私の元に帰って来るでしょう。
私との子なのよ。他でもない私の!
だって、だって愛してるって言ってくれたもの。
全てを捨ててでも帰ってくるに決まってる。
帰ってくるべきだもの。帰ってこないはずがないわ!

早く出ておいで。私のたった一つの希望。

「あなたをずっと待っているのよ。」

3/1/2024, 1:03:12 PM

彼女を一目見た瞬間、身を焼くほどの衝動に駆られた。
彼女と話したい。彼女と遊びたい。
心を手に入れたい。僕のものにしたい。
この手でぐちゃぐちゃにしてしまいたい。

初めての激情だった。心臓がうるさかった。
知りたくなかった。感じたくなかった。
僕という人間は、こんなにも汚くて、愚かだったのか。

本能が彼女を強く求めた。理性が僕を嘲笑った。

2/29/2024, 4:08:43 PM

私の趣味は列車旅行。
行き先も見ずに知らない列車に乗る。
大きな期待と小さな不安を胸に抱えて、
知らない場所に旅立つ。
気の向くままに駅を降り、
行き当たりばったりで泊まったりもして。
そんな旅行が、どうしようもないほどに好きだった。

今日も列車に乗って、宛のないまま揺られてる。
海が見えるところだろうか、山があるかもしれない。
あぜ道なんかを、泥んこになりながら進もうか。
何処に泊まろう、野宿だってしてみたい。

窓の外を眺めながら、この先の出会いに思いを馳せる。
人気が無くなった車両で胸を押えて笑ってみる。
心臓が酷く高鳴った。頬が紅潮した。

私は今、まだ見ぬ場所に恋してる。

2/28/2024, 3:33:38 PM

受け入れてもらえないことは、最初からわかってた。
だからって諦められるものではないのよ。
好きになってしまったの。
好きになってもらえたの。
この運命を、この奇跡を、他人に壊されたくない。

遠くの町へ逃げましょう。
貴方とふたりなら、何処へでも行けるわ。
夜更けと共に窓から飛び降りるの。

荷物なんて置いて行って。私には貴方がいればいい。
裸足で駆けましょう。石や枝が突き刺さろうと。
足を止めないで。肺が甲高い悲鳴を上げても。
周りの目なんて気にしないで。私だけを見てて。

きっと、辿り着いたそこには、
私達を知っている人なんて一人もいないから。

2/27/2024, 12:02:27 PM

嫌なことがあったら、その場から離れる。
嫌なことを言われたら、その人と縁を切る。
嫌だなと少しでも思ったら、拒否する。
あたしの心はあたししか守れないんだから。
これは現実逃避なんかじゃない。
あたしが出来る最強の防衛だから、
恥ずかしくもなんともない。
あたしを守るためなら、あたしはなんだって出来るの。

嫌だと思う気持ちだって、大切にしたい。
何よりもあたしの心を、大事に守りたい。

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