君が帰って
君と通話が終わって
いつもより静寂に包まれた部屋で
天井を眺める
優しくない言葉たちに育てられて
必死で君の優しい言葉を思い出す
苦しかった
けれど君がいるから大丈夫だと思えた
優しくないこの世界で
孤独じゃないと思えること
それが救いだった
別れ際に寂しそうに私を強く抱きしめる君が
可愛くて恋しくて愛おしくて抱きしめた
力の強さ分想いを感じた
壊れないように優しく
それでも全部が伝わるようにって
君のそんな想いまで
大丈夫だよと今は胸を張って笑えないけど
君がいてくれるから私は素直に生きられる
いつもありがとう
また次もあるからその日までまたね?
通り雨だ
すぐ止むといいなぁ
慌てて折り畳み傘を取り出したけれど
君は「すぐ止むよ」って笑っていた
だから私も「そうだね」って返して
少し濡れた
雨さえも君の隣にいれば笑える
偏頭痛は酷いけれど君が笑うならいいと思った
もう秋だね
食欲の秋に芸術の秋
スポーツの秋に読書の秋
私は読書をするかなぁ
一番楽しいからね
けれど秋は色んなものが美味しいから
食べてしまうかもしれないな
夏が終わり秋が来る
涼しい風を感じてどこまでも秋を楽しもう
以前入院していた時に
外には出れない毎日で
窓から見える景色をひたすら
仲良くなった患者さんたちと眺めていた
鍵が取手ごと外された大きな窓から見えたのは
薬局とスーパーとその駐車場とお墓と山と
それからその道を歩く人たち
いろんな人を観察していた
観察されていると思わずに楽しそうに過ごす人を見るのが好きだった
といえば聞こえは悪いけれど
いろんな人がいて楽しかった
仲睦まじい夫婦や
シルバーカーを押して歩くおじいちゃんおばあちゃん
走り回る下校児たち
駐車場にある自販機で必ず飲み物を買ってから帰る人
駐車場に停まった車を見るのも好きだった
私が好きだったのは濃い赤の車
毎日停まっている車を教えてもらって
「今日もいるよー!」
なんて会話をしていた
そんな毎日だった
闘病しながらも見える景色は明るかったから
病気と共に生きていくことも
きっと自分次第なのだと思っていたし
今も信じている