私は大切なものを2つ失った。
「駿くん」と「祐介くん」
「駿くん」は末期の胃がんで亡くなった。私が病室を出て1時間後に。最期を看取ることができなくて、泣きながら駿くんに謝ったな。
「駿くん」の担当医から
「駿さんは、佳奈さんの前では強がってたのだと思います。よくあるんです。最期の最期までかっこよくあろうとする人。」
その言葉を聞いても、気持ちの整理ができてない自分がいる。いっその事、私が見てる時に笑顔で旅立ってよね。
「駿くん」からの最期のプレゼントのお手紙と桜の花びらは大切にしまってる。
「祐介くん」は、私が「駿くん」の話をしたら別れ話を切り出してきた。
エイプリルフールだと思ったら違ったみたい。
「祐介くん」に背を向けて歩き出したら後ろから
「佳奈!!!!」
って叫び声聞こえたんだ。
「──もう遅いよ」そう呟いて、私は歩みを止めなかった。
止まったら「祐介くん」に迷惑がかかるから。
「祐介くん」との写真や贈り物は大切にしまってる。
ここ数年で沢山失ったな。
好きなケーキを食べても味がしないし、推しを見ても楽しくない。
「駿くん」と「祐介くん」が居ない世界で生きていけるのかな。そう考えた時に自信がなかった。
「おぉ、高……」崖ってやっぱ高いな。
靴を脱いで1歩1歩前に出る
「やっぱ怖いな〜」いつの間にか涙が出ていた。
泣いても2人は助けてくれない。
あと一歩のところで足が出ない。震える。
結局、その場に座り込み泣くことしか出来なかった。
「大切なもの」
「幸せに」と「エイプリルフール」と繋がってますので、読んでくださると幸いです。
今日はエイプリルフールだ。
いや、厳密に言えばエイプリルフールは昨日だったのだが話す相手もおらず嘘をつくことができてない。
今日は4月2日の木曜日。彼女の佳奈と会う日だ。
佳奈に何かしら幸せになる嘘を着くことにきめた
「佳奈!」
「あ、祐介くん」
彼女の佳奈。何故か暗い顔をしていた。
「佳奈〜そんなくらい顔してどうしたんだよ」
「え?実はね、前大人になったら結婚しようって言ってくれた人の命日なの。」
今なんて言った。命日?エイプリルフールの次の日が?
「そんな冗談やめろよ〜」
「冗談じゃないよ」
佳奈は真剣な顔をしていた。
近くのカフェに入って話を聞いた。
名前は「駿」と言うらしい。
幼稚園に通ってる頃に「大きくなったら佳奈と結婚する」と言ってくれた人と佳奈は教えてくれた。
だがその「駿」という人は、末期の胃がんで昨年亡くなったと言った。
手紙には「幸せになれ」と震えた文字で書かれてたと教えてくれた。
「その手紙の傍には桜の花びらもあった、あの人からの最期の贈り物かな」と佳奈は涙を流しながら話してくれた。
そんなことがあったのか。僕は何も知らなかった。
ひとり浮かれて佳奈とのデートを決めた。そんな大切な日に。
「佳奈」
「どうしたの?」
「別れよう」
「え?嘘だよね?」
「嘘じゃない」
会話は途絶えた。伝票を持ち会計に向かった。
「合計で1200円です。」
お金を払いカフェを出た。
「祐介くん」
名前を呼ばれた。振り返れない。振り返ると抱きしめてしまいそうだったから。
「幸せになってね」
その言葉を言い残して佳奈は去っていった。
「佳奈!!!!」
振り返り佳奈の名前を叫んだ。が、佳奈は振り返ってくれない。1歩踏み出したが、その1歩で止まった。走り出しそうで怖かった。ここは外だ周りに人がいる。泣くなみっともない。佳奈には忘れられない人が居る。そんな人の代わりになれるわけがない。
そうして、その嘘を最後に最愛の彼女の佳奈と別れた。
『エイプリルフール』
『幸せに』と繋がっているので、そちらも読んでくださると幸いです
「僕の将来の夢は佳奈ちゃんと結婚することです!」
幼稚園に通ってる時に宣言してそれから17年。
「駿さんは、末期の胃がんです。」
医者にそう宣告された。頭が真っ白になった。
それからは気づけば入院の手続きが進んだ。
あとはもう病院で過ごすだけだ。
入院した当初は向日葵が咲いて太陽の日差しが強かった。でも、今は桜が咲いている。時は待ってくれないのだと、狭い病室で痛感した。
「駿、おはよう。どう?」
佳奈の声だ。瞑ってた目を開ける
「おはよう。いつも通りさ」
「そっか。今日ね──」
佳奈が外のことを話してくれるが、もう聞きたくない。
好きな人の声なのに聞きたくない。
しんどいな。適当に相槌を打って話を終わらせよう。
「佳奈」
「んー?」
「幸せになれよ」
「……うん」
返事までに間があった。そりゃそうだ。あの時交わした約束──「佳奈と結婚する」という約束を守れてないのだから。
そこで会話が終わった。空調機の音がやけに大きく聞こえる。
「私、帰るね」
「うん」
そう言って佳奈は俺の病室を出た。
「佳奈、ごめんな。俺以外の人と幸せになれよ。俺のこと忘れてくれ」
そう呟いて、目を閉じた。
それから駿が亡くなったのは1時間後だった。
枕元には佳奈への手紙。震えた文字で
「幸せになれ」
そう書かれていた。
風が吹き、窓から桜の花びらが手紙の近くに落ちた。
まるで、最期のプレゼントみたいに
「幸せに」
「ねぇ、好きな人いるの?」
「い、いないよ〜」
嘘だ。いる。目の前に好きな人。今喋ってる人。
何気ない振りした
「嘘だ〜」
「嘘じゃないよ」
「顔赤いもん」
「暑いだけさ」
今日は暑い。
暑さのせいにできるのは不幸中の幸いだろうか
「そういう君は好きな人いないの?」
「いないよ」
即答。ほんとにいないのだろう。
が、隣を見れば耳が赤い君。
好きな人いるんだと瞬時に思った。
お互い、何気ないフリして恋愛話するのは難しいようだ
「何気ないふり」
「おはよー!」
「…」
まただ、無視された。
2日前から無視される。今日は僕の誕生日だ。
「あのさ!昨日のテレビ見た?」
「…」
何か嫌われることをしただろうか。
授業が終わり帰宅時間になった。
誰にも祝ってもらいなかった。
帰る瞬間。クラッカーが鳴る
「ハッピーバースデー!」
「ごめんね〜!無視して!みんなで無視するってドッキリ」
なんだ、そうだったのかびっくりした
「今日はさ?誕生日でしょ?ご飯食べに行こ」
「うん!」
あ〜やっぱり僕は愛されてるな!誕生日楽しい!
拙い文章ですが、皆さんは誕生日まじかに無視されるドッキリを仕組まれて主人公のように喜べますか?当人たちにとってはハッピーエンドでも、傍から見ればということもあります。
人って、怖いですね