月夜/13夜
銭湯に行きしな
空を見上げると
東に月が出ていた
夕陽の色を纏う時間
小さく見える月は13夜
お風呂を上がって帰る頃
西に傾き大きなライトが
煌々と照らすように
影も明るく見える夜
洗面器の石鹸箱と
シャンプーがカタリというまで
見上げて
今夜は月が綺麗ですね
と夏目漱石の書いたラブシーン
を思い出してた
絆/春の雨と
春の雨が降る中で
香りに惹かれ振り向いたら
見つけた紅色の花
沈丁花
傘を差し掛けると
ふわりと舞う香り
知らない路地にひっそりと
咲く花を見つけて
ひと休み
あの人の香りも
振り向くほど強かったが
沈丁花は艶やかで美しい香りだ
あの人と絆を結ぶことはできなかったな
と、思い出して苦笑する
そこまで惹かれた訳じゃなかったか
花を見ながらぼんやりしていた
たまには
天井の模様を見ながら
過ごしてきた
春だというのに
涙の跡が
起きたら出てる
これでいいとは
思ってない
たまには
土手のある
川のほとりで
詩を編みたい
横を向いて
出かけられない
苦痛を苦痛としない
自分を慰めてる
春だというのに
変われない
大好きな君に/生存確認
春の空に向かって
まだ会えないの?
って言ってみる
なかなか会えなくて
メールの行き来
が同じような文面
言葉少ない人だけど
心に不安が刺さって
細かく傷んでる
信じてないわけじゃない
お互いいい歳だ
いつ死ぬか分からないから
顔が見たいよ
黙っていても
分かり会える
近さが欲しいな
今は遠いよ
ひな祭り
段飾りのお内裏様
お雛様の被り物が止まらずに
父がイライラしてたっけ
今の流行は2段まで
3人官女がにっこりと
大臣達はどこ行った
長持なしは今風だ
松屋町の人形店を巡ったのも
ずいぶん前だなあ