Machi

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8/1/2024, 10:44:21 AM

『明日、もし晴れたら』



明日、もし晴れたら。
俺とあの人は会うことができない。
雨の日だけ会うという約束。梅雨明けの、晴天の明日の天気予報。
流れるニュースをぼうっと見ながら、そんな事を考える。
しばらくは毎日のように会っていた。なのに、明日からは会えない。
遣る瀬無い感情を押し込むように、会えないのが日常なんだと身に思い知らせるように、手にぶらつかせていたビールを煽った。

7/31/2024, 10:31:39 AM

「…だから、一人でいたい」
彼女に唐突に告げられた言葉。俺はそれを理解できず、聞き返した。
「…どういうこと?今までの話と、それに何の関係が…」
今彼女は本が好きという話を俺にしていた。一方的に話されるだけで、俺は時折相槌をする程度だが。
こいつの話はもう何年も聞いている。新しく買った本、読み返した本、作家、出版社。いくらでも出てきて尽きないこいつの話は、俺にとってどこか精神安定剤のような部分であることも認める。
その話を十分以上続けたところで、彼女は言った。一人でいたいと。
「…今、お前の好きな作家の本話してなかったか?何で急に一人の話になるんだよ。俺が聞いてることとお前の言ってること違うかったりする?」
「ううん。私は今確かに京極夏彦の話してたよ。でも、急に思い立ったから言ったの。」
変だ。今さっき、中禅寺秋彦の解説がわかりやすくてだの何だの言っていたところだったというのに。思い立ったというだけで、話がここまで曲がるだろうか。
「…一人にしようか?」
「そうじゃないの。…一人の世界に行きたいって。」
一人でいたいとは全然意味が違うじゃねえか、と心のなかで悪態をつきつつ会話を進める。
「一人の世界って?」
「どんな場所でもいいけど、私以外の人がいない世界。私は一人で…本を読みたい。」
その言葉を聞いて、無性に胸が苦しくなる。それが寂しさだと気づくのに数秒かかった。
俺はいつからこいつの話をこんなにも求めていた?
「……お前は、読んだ本の感想…誰かに言わなくて平気な性格だったかよ」
素直になれない。お前の話を聞いていたいと言うだけでいいのに俺の心は飛車げて曲がってるから、その本意が伝わらない。何度も経験してきたことのはずなのに、俺はやっぱり曲がったままだ。
「………そうかもね。じゃあ、私と君以外が居ない世界…二人の世界がいい」
俺は変に生暖かい気分になり、カップに入ったコーヒーを啜った。
「二人でいたいね。」
俺と、こいつ。二人の世界。
ずっと二人で、本の話をする。こいつの話を聞いて、穏やかな気持ちになれる。
考えてみればそれは理想的で、同時に、来ることのない願望なんだと理解する。
外を見る。雨の伝う窓越しに、夕日が沈む。
「……毎日、死んだら、一人になれるかなって考えてたの。」
黄昏時。薄い陽の光が俺達を包み込んで、二度と来ない時間を生み出す。
何故か、そんな事を考えたことなど一度もないはずなのに、すっと言葉が出た。
「………じゃあ二人で死ねば、ずっと二人になれるな。」
目を見開く。陽が落ちる。暗くなる。
完全にその陽が消える一瞬に、こいつは確かに言った。
俺にしか聞こえない声で。俺にしか心から理解できない言葉を。
「…二人になろう。」

6/27/2024, 2:12:16 PM

ここではないどこかへ行きたい
そう、ずっと考えていた。
閉鎖的で、まるで監獄の中のような生活。
ここから出られるなら何でもよかった。迷惑をかけても、かけられても、どうでもよかった。この狭い世界から、自由を掴み取れるなら。
私は、自由を追い求めている。
ここではないどこかで、一人で生きていく。
そんな世界を、求めている。

6/23/2024, 12:42:25 AM

いつもとなんら変わらない日常に戻った。

6/17/2024, 5:40:22 AM

丁度1年前のことだ。
貴方は私の目の前で肉片になって、笑ってくれなくなった。
貴方の笑顔のないこと世界はとても退屈で、私は死のうかと考えていた。
でも、私はまだ生きている。
息を潜めるように、貴方に懺悔するように。
あの日からずっと私は、貴方から逃げ続けている。

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