#19【終わりない物語】
※同性愛要素を含みます
「俺のこと好き?」
同居している恋人から、急にそう言われた。
付き合ってるけど…恥ずかしくて言えない。
「な、何…!?急すぎ…!」
「いいじゃん!言えって、俺しか聞いてないし。」
君は僕にくっついて、耳元で言う。
僕が耳弱いの、知ってるから…
「………好きだけど…何、」
「さっすが。」
僕たちの物語は、まだまだ続く。
#18【やさしい嘘】
※虐待の表現を含みます
幼少期のこと。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。…
俺は心の中で何度も唱えた。
口でも、何度も。
「ほんと迷惑…出てけ。」
出ていけばどうせ止められるかと思いきや、何も言われなかった。
「どーしたの?」
そんなとき、声を掛けてくれたのが君。
君は痣と傷まみれの体で、俺と同じだった。
「家出…的な…」
「…大変だったよね、ぼくが守ってあげる!」
「え…?」
君だって。
俺と同じ境遇のはずなのに。なんで。
君がついたのは、やさしい嘘?
翌日、君の遺体が君の家で見つかったのだった。
#17【瞳をとじて】
※同性愛要素を含みます
「ん…」
瞳を閉じると、君の気配をすぐ近くで感じる。
「いい、?」
「いいよ。」
僕がそう言うと、君と唇が重なった。
「好き…」
「ふふ、僕もだよ。」
…この後は、想像に任せるよ。
#16【あなたへの贈り物】
※同性愛要素を含みます
「はい、これ…!」
街の中心部は、緑や赤のイルミネーションがツリーと共に輝く季節。
君が俺に差し出してきたのは、綺麗なラッピングの箱だった。
「え…!ありがと!!」
「ふへへ、こっちこそ。」
君が喜ぶ表情に、俺もさらに嬉しくなった。
「あ、そのプレゼント…君だけにあげたからね!?」
君は俺に強く言う。
「そんなこと聞いてないよ。ふふ、可愛いね。」
俺は君の頭を撫でた。
「うぅ…」
#15【羅針盤】
※同性愛要素を含みます
「あーあ…」
アパートの一室で、俺は溜息を吐いた。
仕事ですごいミスをしてしまったのだ。
『大丈夫だよ。』
その時聞こえてきたのは、今は亡き俺の恋人の声。「え…?」
『僕が居るじゃんか!』
なんだか君が隣で微笑んでるような気がして、俺もふふ、と笑みを漏らした。
「ありがとう。」
俺をいつも導いてくれるのは、君。
まるで俺の…俺だけの、羅針盤。