うちの猫が外を見て
たそがれている
まだ2歳半だが…
この風格は
いったいどこから来たものだろう
…ん?
たそがれているのかと思いきや
外の網戸についたカメムシを凝視していた
やめてくれ…
心底そう思いながら
私はカメムシとうちの猫から目線を逸らした
なぜこんなにカメムシは
網戸に付くのか
本当にゴメン被るものである
屁が最近くさい
きっと明日もくさいのだ
私は問題無いのだが
周りはきっと迷惑だろう
換気よろしく…
あ 自分で換気するか
あるいは屁のたびお手洗いに駆け込むか
面倒だが仕方ない
お手洗いが今度は におうだろうが
換気設備に任せよう
なぜくさいのだろう
ストレスか?
変なもん食ったっけ?
まあ
気にせずいこう
静か過ぎる
私の部屋は
独りで住むには
多少広過ぎた
ーただいま
それまでの静寂に包まれていた私の部屋に
私が帰って来た
さびしい
けれど
それで良いんだ
着信のないスマホ
部屋に転がして
伸びをする
今日も
お疲れ様
先輩聞いてくださいよー
昨日彼女との別れ際に
綺麗だねって言ったんです
そしたら苦笑いされちゃって
僕なんか変なこと言いましたかね〜…
ーあ?お前の愛しの君子ちゃんがどうしたって?
やだな先輩、僕の彼女に変なあだ名
付けないでくださいよー
もういいですよう
仕事 仕事
ー バーカ お前いっつもおんなじ事
彼女ちゃんに言ってねーか?
だからだよー
先輩決めつけないでくださいよー
美人だねとか ちゃんと言い方変えていますよう
ー呆れてものも言えねえな
何でなんですかー!?
ーもともと言われ慣れてる言葉ばっかりできっと
うんざりされちゃってんじゃないかー?
そそんなぁー…先輩酷いこと言うなぁ
僕だって気を遣ってるのにー
ーこれだからお坊ちゃんは〜
もっと他に言えることあんだろうが
語彙力ねえのかよ 語彙力
ちきしょー今度会ったら
なんて言えば良いんだよー
ー苦笑
先輩まで苦笑しないでくださいよぉー
ーおう 先あがるわーおつかれ〜
せんぱーい…
お疲れ様でーす…
あの人は
僕にとって通り雨のような人だった
蒸し暑い時期に出会った
稲光を身体に感じた
だけど
病気でこの世を去ってしまった
僕は
まだ 信じられない
明日でももしかすると
会えるんじゃ無いか
カフェのいつもの席に座っているんじゃ
そんなふうに
思ってしまう
探してしまう
姿がないことが
受け止められない
結婚するつもりだった
それほど真剣だった
蒸し暑い時期を
僕はまた待つのだろう