幼い頃から私は両親の愛を受けて
蝶よ花よと育てられた
おかげで今の私がある
知らない世界も多いし
世間知らずの私は
多分に漏れず
人を困らせて来た
あれこれ
わからないことが多くて
両親共に年を経た今も
迷惑をや心配をかけて居る
だけれども
育ってしまったからには
生きてゆかないわけにいかない
だから
静かに今日も
修行だと思いながら日々を過ごして居る
彼女は僕に当たり散らす
他の人が大きな声に驚いて僕らを見る
僕は
ごめん
でも
最初から決まりきって居るんだ
僕は君のことは好きになれない
好きじゃないし
友達だと思ってたんだ
そう呟くと
ベンチから立ち上がった
待ってよ!!
振り向きざまにバッグをぶつけられた
あんたはそれで良いかも知んないけど
あたしはこれでもずっと想ってたのよ!
僕はバッグを拾うと
よしてくれ
そう言って彼女にバッグを渡した
いやよ!!
僕だって嫌だ
こんな形で関係が崩れるなんて
彼女は
泣き崩れてその場でしゃがみ込んでしまった
なあ
人が見てるよ
僕は帰るし
もう連絡もしないでくれ
僕は歩き出す
友達を1人失った明日へ
日差しの強い日だ
外に出ると
秒でバターのように溶ける
アスファルトがフライパンになって居る
靴の底も溶けて居る
ああ
暑い
四季の中では
苦手なほうになるだろうか
夏
太陽
砂浜から海に出たい
生ぬるい海の水に
足元を浸したい
海の水をかけあいたい
ああ
そんな恋人が欲しい
しかしその前に暑い
夏は…夏は…ダメなのである
僕は夏の暑さに対抗すべく
パピコを齧る
うんめぇー
パピコ最強
やっぱり少しずつ夏ならではの
良い部分も見つけられそうだ
この時間は蚊取り線香を焚きながら
鐘の音を聞いている
蝉の鳴く声と
ひぐらしの声
田んぼの蛙や鈴虫の声
そして坊主が鐘をつく音
聴くともなしに聴いて居る
お盆ですね と
妻が麦茶を持って来た
うん
私はひとくち麦茶を飲むと
仏壇に目をやった
お盆だから
玄関をきれいにしておきなさい
妻は ええ と応えて
下がった
私は仏具でも磨こう
懐かしい日が蘇る
息子や娘と一緒に
仏壇をピカピカにしたあの日
そうさなあ
今は私だけで我慢してもらうかなぁ
仏具をゆっくりと磨く
黄色く濁った色から
金色がきらりと光った
やれやれ
難儀だな
一人では夕飯までに終わらないと
思いながら磨いて居ると
妻が
私も と
一緒にお磨きをしてくれた
お盆ですから
と 妻が微笑む
今日の夕飯はことさら美味いぞ
私がそう言うと
夜風に風鈴が鳴り
すっかり夜の帷も降りて
外は暗くなっていた
続けることに意義がある
たとえつまらないと思えることでも