日差しの強い日だ
外に出ると
秒でバターのように溶ける
アスファルトがフライパンになって居る
靴の底も溶けて居る
ああ
暑い
四季の中では
苦手なほうになるだろうか
夏
太陽
砂浜から海に出たい
生ぬるい海の水に
足元を浸したい
海の水をかけあいたい
ああ
そんな恋人が欲しい
しかしその前に暑い
夏は…夏は…ダメなのである
僕は夏の暑さに対抗すべく
パピコを齧る
うんめぇー
パピコ最強
やっぱり少しずつ夏ならではの
良い部分も見つけられそうだ
この時間は蚊取り線香を焚きながら
鐘の音を聞いている
蝉の鳴く声と
ひぐらしの声
田んぼの蛙や鈴虫の声
そして坊主が鐘をつく音
聴くともなしに聴いて居る
お盆ですね と
妻が麦茶を持って来た
うん
私はひとくち麦茶を飲むと
仏壇に目をやった
お盆だから
玄関をきれいにしておきなさい
妻は ええ と応えて
下がった
私は仏具でも磨こう
懐かしい日が蘇る
息子や娘と一緒に
仏壇をピカピカにしたあの日
そうさなあ
今は私だけで我慢してもらうかなぁ
仏具をゆっくりと磨く
黄色く濁った色から
金色がきらりと光った
やれやれ
難儀だな
一人では夕飯までに終わらないと
思いながら磨いて居ると
妻が
私も と
一緒にお磨きをしてくれた
お盆ですから
と 妻が微笑む
今日の夕飯はことさら美味いぞ
私がそう言うと
夜風に風鈴が鳴り
すっかり夜の帷も降りて
外は暗くなっていた
続けることに意義がある
たとえつまらないと思えることでも
子供達がすやすやと眠っている
あの子達の目が覚める前に
ラムレーズンアイスを
食べてしまわないと…
ラム酒入りなので子供達には
まだ早い
大人のアイスを
こそこそと準備する
さあ 食べるかな
ひとくち
美味しい〜!
もうひとくち
夢中になってしまう!
と…
背後に気配を感じる
お母さん…僕も…それ食べる…
子供が一人起きてしまった
目を擦りながら
私の服を引っ張る
食べる〜!
あちゃあ
仕方ない作戦Bだ
はいはい…仕方ないなあ
用意したのはバニラのカップアイス
私は黙々とバニラアイスを食べる
子供の様子を見て
自分のラムレーズンアイスを頬張った
こうして
私はラムレーズンアイスを
食べ切る事に成功した
ご馳走様でした!
病室から今
窓の外を眺めて居る
桃色の雲が空に浮かび
カラスが山に帰るところだ
これからまだ
長い人生が
私にはある…つもりだった
しかし
意外と人生は
思いの外短いらしい
持ってあと半年
そう宣告を受けて
2日目だ
気持ちの整理がつかない
まだ
やりたい事
できずに居る事
そんなこんなが
山ほどあった
まだ
自分のことなのに
受け止めきれない