【こぼれたアイスクリーム】
当然欲張る
カップにそびえ立つ3色の塔
ピスタチオにチョコ
ちょっと悩んでミルク
絶妙な柔らかさに作られたアイスは
受け取った瞬間から
形を変え始め
駐車場に戻る頃には
表面張力の限界まで使って
今にもカップの縁から流れ出しそう
スプーンで救護に向かうも
時すでに遅し
カップを持った手が3色に染まる
致し方なし
欲に負けカップに余力を残さなかった
自業自得だ
落胆してる暇は無い
スプーンで液化した表面をすくいとりつつ
塔の根本
カップの表面も食べながら液だまりを作る
塔が倒れないように細心の注意を払いながら
まさかこんな事になるとは
何とか食べ終え
マーブル模様になった手を眺めながら
次は2色までにしとこうと思った
2色に染まった手を眺めるまでは
それなら3色だな
【やさしさなんて】
人によって
基準も価値観も違うから
やさしさもすれ違う事だってある
だけど
それが本当にやさしさからだったら
やっぱりそれは
受け取りたいと思う
【風を感じて】
会社の空調は
ビル全体の一括で
各フロアでは風量の切替しか出来ない
古い設備
温度の調節は出来ない中
体感に個人差のある
老若男女が集まってるから
なかなか全員が快適は難しい
我々には快適でも
事務所で長時間過ごす
お姉様方には寒く感じるようだ
事務所で仕事をしていると
寒いねぇと言いながら
空調装置の風量スイッチを次々とOFFにしていくお姉様方を
汗ばんだ腕に貼り付いた書類を剥がしながら眺める
毎年の光景
最初の頃は風量を弱めたり
影響無さそうな所だけ稼働させてみたりと
折り合いのつく所を模索してたが
終着点は全てOFFだった
万策尽き
数年前に買った
ネッククーラーと卓上扇風機
汗ばんだ皮膚に
そよ風が心地よい
【夢じゃない】
それは努力かと
【心の羅針盤】
圧倒的既視感
思ってたのが羅針盤ではなく羅針儀だった
ってのは前回学んだ
子供の頃は
針の指す方へ真っ直ぐに向かえた
ある程度になると
向かいたい方向が針の指す方だけではなくなり
今となっては
諸事情が向くべき方向を決める
時として向きたくない方向にも向かわざるをえない
長い間しまい込んでたそれを取り出し
自分の向きを照らし合わせてみる
少し固くなった蓋を開けて
覗き込んだ針の向きは
案外
自分の向きに近しかった
取り出してみる気になったのは
そんな予感がしたからなのかも
針の向きを決める磁力は
自分由来ではない
環境に恵まれた結果だ
ありがやありがたや