【小さな愛】
長女が保育園の頃だったか小学校に入った頃だったか
風邪をひき
日中は実家で見てもらう事があった
まだ本調子ではない長女を実家に連れていく途中
コンビニに立ち寄る
飲み物にゼリー
長女の食べれそうなものに
普段はママから買って貰えそうにないお菓子
カゴの中を見て満足そうな長女と
レジに向かう
朝のコンビニは思ってたより人が多く
同じように通勤途中であろう
お父さんと女の子も居て
何となく親近感を憶えた
買い物を終わらせ
車で10分ほど離れた実家に向かった
何かおかしい
さっきまで満足顔だった長女の表情が少し暗く見える
やはり本調子ではないのかと
長女の広いおデコに手を当てる
熱はない
「キツい?気分悪くなって来た?」
と声をかけると
「ううん」と首を横に振り
なんでもないよの顔をする
実家に着くと
「ばぁばぁ!」と嬉しそうにしてたので
一応、さっきはチョット調子悪そうだったと母に伝え
仕事に向かった
昼に実家に電話してみると
大丈夫みたいとの事
長女も電話に出て
午前中にした遊びを楽しそうに話していた
それが分かったのは10数年後
何かの話から
長女が
「実は・・・」と語り出した
あの日長女は
滅多にない朝の俺との時間に
少しテンションが上がっていたらしい
そして同じ理由で
ややテンションの上がった親父の爆買い
長女いわく
今までで最高の朝だったらしい
事件が起こったのはレジの前
後ろに並んでた子が前に行こうとしたのを
お父さんが制したそうだ
「前のおじさんが先でしょ!ちゃんと並ばないと」
長女は
こんなに優しい私のパパを
おじさんって!
と急転直下の衝撃に泣きそうになったらしい
しかし
それを俺の耳に入れないように我慢したそうだ
これを言っても誰も幸せにならないと
誰にも言わずに
10数年
「あのおじさんの顔は今でも憶えてる」と
自分が言うのは良いようだ
「いやしかし・・・言うだろ」と言うと
「今なら分かる」との事
ともあれ
あの日の長女は
その小さな体で
5倍はあろうかと思われる俺の事を
必死に守ろうとしてくれてたのだ
その話を聞いて
泣くほど笑いながら
違う涙も少し流れた
【空はこんなにも】
こんなにも
とくれば続くのは
〇〇なのに
じゃなかろ~か
それなら
雨続きの空は
それに反して
こちらは元気だと笑っていよう
【子供の頃の夢】
パン屋に始まり
コックにヒーロー
大工にテレビで活躍する人
子供の頃に描いたのは
子供じみた夢だけど
そのどれでもない今は
たぶん
全部足して割った感じだと
思えなくもない
【どこにも行かないで】
気持ちは分かるけど
たぶんそりゃ無理だ
留まった水は澱んでしまう
閉じ込めてしまう事で
くすんで行く姿を眺めるのが
果たして正解なのか
それでいて
変わってしまっただなんて
だからそれは
相手に願うのではなく
自分が目的地であり続けるしかないと思う
自己犠牲ではなくて
自身も留まらぬように
【君の背中を追って】
踏み出した一歩は
あとから振り返っても
だいたい正しかったように思う
チョット悔しい