【雨の香り、涙の跡】
雨の香り
そう思ってたものは
濡れたアスファルトの匂いだと聞いて
なんとなくションボリした記憶
同じように布団を干した日の
お日様の匂いもションボリな話だったと思う
その点
ションボリから始まるせいか
涙の跡には
乗り越えた軌跡が感じられるように思う
乗り越えていく姿を見たからかな
【糸】
赤い糸なんて聞くこともある
実感は無いけれど
もし人と人が
見えない糸で繋がってるのだとしたら
なるほど
あちこちで絡まってるのはそのせいか
【届かないのに】
踵を上げ背伸びする
近付いたような気もする
だけど届かない
腕を指先まで目一杯伸ばす
つま先から中指の先まで一直線
背筋もふくらはぎも限界まで
でも届かない
とうとう踵を降ろすと
途端に遠くなった気がする
元に戻っただけなんだけど
身体に残った疲労感と
費やした時間が
なかなか認めてくれない
無駄ではなかったと思いたい
だけど
あんなにも頑張ったのにと
届かなかった先を恨めしく思ってしまうなら
それはやはり無駄だったのかも知れない
希望も絶望も
目測を誤ったのは自分だもの
【記憶の地図】
目下、捜索中であります!
【マグカップ】
各所のフレンズ達に
これ誰が喜ぶんだよ
なプレゼントを送ったりする
さもイケメンアイドルかのように
微笑む俺の写真やキーホルダーに絵本
後輩が作ってくれたLINEスタンプなんかもある
遠く離れた支店では
笑顔をたずさえポッコリお腹を抱えた
マタニティフォト風俺の写真が
神棚に飾られてた
とある後輩が転勤する際に
使ってない朱肉があればと探していた
あるにはあったけど
ずいぶんと使い込まれて
そのまま渡すのも気が引ける
そこで
塗装と装飾を施す事にした
仕上がりをイメージしながら
材料を購入
試行錯誤しながら
それなりに見れるようになった
最後の仕上げをした後
フタの裏にまたしても写真を貼り付け
餞別にと仲間内で買った
オリジナルマグカップと共に渡した
後輩は開封しながらもしやと思ったらしく
恐る恐るマグカップの柄を確認
自分の名前と某カフェのマークを見て安心した様子
朱肉は転勤先で使おうとして発見したらしく
後日
マグカップ使ってますの写真と朱肉はみんなで使ってるとの
メッセージが届いた
やはりマグカップも俺の顔のがオシャレやったと返すと
「洗って印刷が剥げたりすると残念なので
これがいいんですよ
私の半径1m以内には〇〇(俺)グッズが山ほどあって
不思議と寂しくないし日々楽しくいっぱいいっぱいです」
おい
本音!本音!