【まって】
歩くのは好きな方だった
学生の頃は
夜通し歩く夜間歩行なる行事に参加し
見事ゴールした数少ない一人にもなった
週に一回、有志が集って
仕事終わりにランニングもしくはウォーキングして帰る
そんな時もウォーキング組のエースだった
ある程度歩き慣れて自信を付けた頃
試しにランニングの方に参加してみた
予想以上だった
開始間もなく
膝の笑い声が聞こえる
前を行く後輩たちの背中も
どんどん小さくなっていく
歩こう・・・
途中にある公園を一周して戻ってくれば
ちょうど折り返して来たランニング組と合流するくらいだろう
公園を歩きながら呼吸を整える
足の方も回復してきた
この感じなら走れるかも知れない
公園を一周して元の場所に戻ると
ランニング組の姿が見えた
このまま走っていれば
じきに追いついて来るだろう
追いついてきたのは後輩二人
すでに息の上がった俺に
あれっ?どこにいました?
息も絶え絶えに
いきさつを説明しながら走る
まだ走れてる
ただ呼吸は乱れ会話をする余裕はない
その隣で
後輩二人は談笑しながら歩いてる
歩こう・・・
残りの道のりは
三人で談笑しながら帰った
【まだ知らない世界】
これだけ情報の溢れる世界で
それでも知る事がなかったのであれば
それは知らなくても良いのかもしれない
持てる情報の量にも限界はあるだろう
なんて思っても好奇心は止まらない
だから
新しく入ってきた物に押し出され
色々忘れちまうに違いない
【手放す勇気】
ないない
大切なものはいつまで経っても大切だし
読み終わった本も
また読み返したくなる時が来る
一度バイト先の本棚に寄付したマンガも
のちのち全巻買い直した
貧乏性なのか
無くて困る事はあっても
あって困る事はないと思ってしまう
カバンはいつもパンパンだ
チョットした小道具達に
虫刺されの薬
絆創膏に
モバイルバッテリー
圧縮タオルに
爪切り
小さなライトに
両面テープ
ペーパー石鹸に
折りたたみうちわ
フットケアクリームに
使い捨て雨合羽
ピルケースに
シミ抜きセット
メモ帳セットに
360°カメラ
カード虫眼鏡に
デンタルフロス
小さな巻尺に
ボディシート
もらった手紙に
孫と遊ぶオモチャ
割と役に立ってる
お腹周りのプヨプヨだって
【光り輝け、暗闇で】
これは・・・
往年の少年マンガのようで
ちと気恥しい
自ら発光する事は出来なくても
反射する事は出来る俺
光源から届いた光を
角度を変え
光の届かぬ所へ運ぶ
時折
自身が発光してるかのような
錯覚も憶えるけど
光源の光が届かなくなると
瞬く間に真っ暗だ
だけど
光源からの光だけでは届かない所を照らせるなら
それも存在意義だと思う事にした
光源様々の借り物競争
まだまだ走るぜ
【酸素】
昔
居るのが当たり前になって
空気のような存在には成りたくない
と言った人がいた
でもね
空気が無いと生きて行けないのだよ