【微熱】
昔のような熱量はなく
かと言って
達観した訳でもない
微熱
【太陽の下で】
それだけで好印象
思い起こしても
良い思い出に紐付けられる
だけど
そんなはずはない
太陽の下には
辛い思い出もあったはずだ
自分の来た道を振り返っても
そんなに良い事ばかりじゃない
きっと
お気楽なのだ
だからまだ歩いていられる
今、目の前には険しい山が見える
きっとそれも
終わってしまえば
いつか太陽と共に思い出す日になると信じる
【セーター】
連日の寒さに取り出した
もこもこセーター
少しチクチクするけど
見た目以上に暖かい
身体の周りに空気のバリアを作ってくれるからかなぁ
なんて考えながら
毛糸の繊維を眺める
単色だと思っていたけど
よくよく見るといろんな色が混ざってる
小学校だったか中学校だったか
覚えてないが
美術の時間に風景画を書いた
田舎の学校
周りはほぼ田んぼと山だ
絵の具を取り出す
田んぼと山に緑、深緑
木の幹に茶色、こげ茶色
空に青、水色、白
まぁこんな所か
ふと隣のタカオカくんを見ると
赤や黄色、黒と
こちらのチョイスには無い色が結構ある
改めて景色を見渡すが
赤なんて何処にも見当たらない
きっと赤が好きで使いたいんだろう
色塗りを始めると
意外と凝り性な性格から
細かい部分をはみ出さないように
色が混ざらないように
うっかり変なとこに色を付けないようにと
こまめに筆を洗い
水分を調整し
作業を進める
良い出来だ
最後の方は時間に迫られ
雑な所もあるが
ともかく書き終えた
ちょっと誇張した木の存在感も良い
自分の絵に満足した後
タカオカくんの絵に目をやる
衝撃だった
絵の具の色
全部使ったんじゃないかと思えるその絵
木の幹や葉っぱにも赤や青が入り
ステンドグラスみたいだ
だけど
少し離れて見ると
ステンドグラスは木になり山になり田んぼになった
深みがあり立体感があり生命感がある
同じ風景をみながら
タカオカくんの目には
どう映ってるのか
取り込む才能なのか
表現する才能なのか
技術なのか
周りにも色んな人が居る
カタオカくんみたいな人も居るだろう
合う合わない様々だけど
視野を広くすれば
全て必要な色なのかも知れない
なんて綺麗にまとめようかと思ったけど
やっぱり
チクチクはない方がいいなぁ
【落ちていく】
試験に落ちる
気分が落ちる
腑に落ちる
地に落ちる
眠りに落ちる
恋に落ちる
抜け毛が落ちる
体力が落ちる
体重が落ちる
目からウロコが落ちる
雨が落ちる
憑き物が落ちる
そろそろ落ちるの字が
ゲシュタルト
悪い事ばかりでもなさそうだ
少し落ち着く
【夫婦】
色んな形がある
そもそも違う文化で育って来た者同士
食事のルール1つとっても
色々と違う
生活に関わる所だけでも膨大な量の違和感に
好みや考え方
理想や期待
求めるものや価値観
優先順位
全てを擦り合わせていくには
互いの努力と歩み寄り
それと膨大な時間を要する
だからきっと
ウチはまだまだ新婚も同然に違いない