大学に入るにあたり、一人暮らしを始めた。
自分のズボラさを痛感する日々ではあるが、私の気持ちを落とす原因はまた別にある。
バイト中、買い物中、ふとした時にすれ違う''家族''の姿に、もう私が重なることはないのだと気づいてしまうのだ。
店内を走り回って怒られることも、お菓子をねだってしつこく食い下がることも、親の体調や都合を無視して公園に連れて行ってもらうことも、もうない。少なくとも、その光景の主人公になることは二度とない。
過ぎた日の幸せを、輝きを、儚さを。
二度と戻らない、過ぎた日を想う。
#過ぎた日を想う
声が聞こえる。自分の名前を呼ぶ声。
ほとんど意識のないまま返事をする。
返事をしながら、回らない頭で考える。
私一人暮らしだよな…
なんか幸せな感覚…
いつ寝たんだっけ…
ああ昨日通話して…
大好きな人の声だ…
大好きな人と寝落ち通話をしたんだった。
途端に目が覚める。
おはよう
おはよう
今日は素敵な一日になりそう。
単純な私は最高の気分で朝を迎えた。
#声が聞こえる
今年の夏は、
夏祭りに行った。
友達と旅行に行った。
流星群を見た。
海の風を浴びた。
花火をした。
もう十分楽しんだ。
今年の秋は何をしよう。
食欲の秋だからいっぱい食べようか。
芋、栗、カボチャ、どれも魅力的。
スポーツの秋だからなにかしようか。
散歩するだけで楽しいからいいかな。
読書の秋だから本を読もうか。
読んでいない本がまだ眠ってる。
そろそろ残暑も落ち着くかな。
あぁ、秋が待ち遠しい。
秋が恋しい。
#秋恋
どうして
言葉で伝えてあげられないんだろう。
行動で示してあげられないんだろう。
相手が素直に思いを伝えてくれているのに、応えてあげられないんだろう。
自分はこんなにもダメなんだろう。
本当は
もっと伝えたい。
もっと合わせたい。
もっと応えてあげたい。
もっと
#大事にしたい
マラソン大会ですごく頑張って走っても、走り終わってしばらくするともっと行けた、あれは本気じゃなかった、と思えてくる。あんなにしんどかったのに。
本気の恋だと思っても、終わってからしばらくするとあれは本気じゃなかった、と思えてくる。そして次の恋が始まるとまた、ああこれが本気の恋だ、やっぱり前のは違ったんだ、と思ってしまう。
この現象に名前はついてるのかな。ないのであれば、どなたか、名前をつけておいてくれませんか。
…もしかするとこの現象は一般的ではないのかもしれないけれど。
#本気の恋