初めて君と相合傘をした日。
君は傘の中で僕にキスしてくれた。

あのキスはもしかしたら事故だったかもしれない。
でもそれは僕の勘違いだった。
君は「傘の中の秘密だよ？」そう言って笑っていた。

君と雨宿りをした時。
君はびしょ濡れの僕を見て笑ってたっけ。

その流れで君と話が弾んで
雨が上がった事には気付いてなかったよね。
左手に指輪を嵌めながらそんな事を思い出す。

｢勝ち負けなんて関係ない｣
よく君が言い訳に使っていたっけ。

君が届かなくなったあの日から
僕はその言い訳をずっと口にしてるよ。

物語は完結した。
完結したがそれが全てでは無い。


誰かがまだ書いている。
誰かがまだ描いている。
まだ物語は続いている証拠だ。

ふと空を見上げてみる。
空には渡り鳥が。

もうすぐ冬が来る証拠。
寒くなる季節はすぐそこまで来ている。