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20240913.NO.51「夜明け前」
本気の恋って、もっとわかりやすく落ちるものだと思ってた。
ひとめ見た途端、ストンと胸に矢が刺さったり。
目が合った瞬間、ビリリと電流が走ったり。
そういう、なにか劇的で刺激的な始まりがあるものだと思ってた。
けど実際は。
初めて会ったときは特に何も思わなかった。泣き腫らした目で眠るあなたを見て、せいぜいかわいいなとか、それくらい。
小学生の時はそれくらい。高学年になってから引っ越してきたあなたは、そのうえ身体が弱くて登校することさえ少なくて。顔を合わせること自体がほとんどなかった。
けど、中学になって。
成長して少し身体が丈夫になったあなたは、学校にいる時間が少しずつ増えていった。人と話すのも上手くて、輪の中心で笑う姿をよく見るようになった。
……その度に。初めて会ったときの、泣き腫らした目で眠る姿が脳裏によぎって。
いつの間にか、笑うあなたの姿を目で追うようになって。
たまたま帰る時間が一緒になった時とか、眠りに落ちる瞬間までずっと楽しくて。
別の女の子と話してるのを見ると、なんだかモヤモヤするようになって。
あなたのことを好きなんだって自覚したのは、中学も卒業のころだった。
出演:「サトルクエスチョン」より 白沢希喜(シロサワキキ)
20240912.NO.50「本気の恋」
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埋まる、埋まる、埋まる──
埋め尽くすのは紙の海。
降り注ぐのはカレンダー。
日めくりカレンダーの用紙が、めくれ、落ち、めくれ、落ち、めくれ、落ち──ある日を境にぴたりと止まり。
どこからともなくめくれ落ちたはずの用紙が増え、1月1日に巻き戻る。そしてまた、めくれ、落ち、めくれ、落ち、めくれ、落ち──
そうやって用紙は無限に増え、私たちの上に降り注ぎ、私の胸元まで埋まっていた。
20240911.NO.49.「カレンダー」
喪失感、なんてハンパなモノじゃない。
喪失。
喪失そのものだ。
喪(ほろ)んで失う。
失って、喪に服す。
いや──服したくなんてない。
認めたくなんてない。
アイツが、いなくなったなんて。
20240910.NO.48「喪失感」
「ねね、モカちゃん。じゃーん! ハイこれあげる! 開けてみて」
「なんだよレオラ、いきなり。誕生日でもなんでもねぇぜ?」
「この前コナちゃんの件で迷惑かけたなって思って。おわびに作ってみたの。ほら、開けて開けて!」
「別にんなモン気にしねぇのに……。ブレスレット? あ、くまのチャームついてる!」
「そう! いいでしょ! ミニコナちゃん! この前手芸屋さんで見かけてね、絶対モカちゃん喜ぶだろうなって思って買っておいたの。色もコナちゃんと同じ紫色!」
「わあ……! すごい……! すごい……!」
「ブレスレットの他のビーズもね、モカちゃんイメージで選んだんだよ! モカちゃん、パステル系の色好きでしょ。このピンク色とかぴったりかなって!」
「すごい……! すごい……!」
「あはは、語彙力なくなっちゃった」
「ありがとレオラー!! 一生大切にする!! 大好き!」
「もう、抱きつかないでよ! うふふ、でも私もモカちゃんのこと大好きだよ!」
出演:「サトルクエスチョン」より レオラ、モモカ
20240909.NO.47.「世界に一つだけ」
フォロワー様に「レオラがモモカに贈るアクセサリー」というコンセプトのブレスレットを作っていただきました。ちょうどお題もぴったりだったので記念SSです。