─距離─
いつからだろう。
貴方と距離が出来てしまったのは。
同じ教室に居るはずなのに、
まるで透明な壁があるように感じたのは。
廊下ですれ違っても、
声を掛けてくれなくなったのは。
分かってる。分かってるつもりだよ。
そりゃ新しい関係も増えるし、
元からの関係を疎かにすることはあると思う。
でもさ、貴方は違う。
関係を最初からなかったことにしてるみたい。
私にはそう見えるよ。
ねぇ、もう私は貴方の中に存在してないの?
貴方にとって私って他人なの?
昔の貴方は、もう居ないの?
─冬のはじまり─
「うわっ…寒っ!」
外に出ると、吐いた息が白くなる程寒かった。
手袋とか持ってくるべきだったなぁ…。
『あっ!やっと来た!』
『お前遅いよ、こっちはめっちゃ寒いのにさ!』
「いや~ごめんよ?朝布団から出られなくて…」
『確かに分かるけど…!』
そんなくだらない会話だけでも、心がほっとする。
嗚呼、また1日がはじまるんだな、って。
『…おーい。聞いてる?』
「…え?何が?」
『だーかーら!一緒に返ろうぜって話!』
「あぁ、それね」
『それねじゃねぇよ、お前聞いてなかっただろ!』
そんな会話も今年で終わり。
こいつと過ごす、最後の冬。
でもまだ冬は、はじまったばかり。
─終わらせないで─
お願いだから、終わらせないで。
貴方の冷たくて、悲しい言葉で。
私の心を、一番傷つける言葉で。
せめて言うなら、私からがいい。
私の悪いところを直すとか、
貴方を引き留めたりしないから。
だから、お願い。
二人の最後くらい、別れの時くらい。
私のお願いを聞いて?
私の言葉で、後悔のないような終わり方にさせて。
─微熱─
朝起きると、なんとなく体が怠く感じた。
動くことは出来るが、万全という訳ではない。
使わない棚の上にあった救急箱。
そこから体温計を取り出す。
熱を計ってみると、37.2度と微熱だった。
今日は休日。何も予定は入っていない。
…休日くらい、ゆっくりしてもいっか。
私は布団に潜り、また眠ろうとした。
窓からさす太陽が、ほんのり暖かい。
近くにある大通りのいちょうが、
太陽に負けじと輝いているにも気がついた。
ほら、秋はすぐそこ。
ただの休日でも、秋は見つかる。
─太陽の下で─
近所にある、人が居ない公園。
意外と広くて、少し大きな道がある。
遊具もブランコと滑り台があるが、
子供が来た所を見たことは一度もない。
でもそんな公園が、大好きだった。
春は桜の雨が降る公園に。
夏は蝉の声が響く公園に。
秋は紅葉の綺麗な公園に。
冬は白いっぱいの公園に。
まるで人間の表情のようで、綺麗なんだ。
本を読んだり、歌を歌ったり、写真を撮ったり。
全てが綺麗で、楽しいけれど、一番好きなのは秋。
暖かい太陽の下で、ゆったりと本を読む。
ふと落ちてきた枯れ葉に目を奪われたりして。
そんな秋の公園が、僕は好き。