maria

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7/21/2023, 12:15:23 PM

「今一番欲しいもの」



私が?


いいえ、

今一番ほしいものといえば

あなたが笑顔になるようなもの。

あなたがホッとして

あなたが安らかに目を閉じて

あなたが 温かな夢を見て

あなたが 朝目覚めた時

一番最初にその目に映すものが

この上なく素敵な1日を約束するような

そんなプレゼント。


「私が一番欲しいもの」が
 
自分のためのものではなくなる。


        それが  恋

       

      「今一番欲しいもの」







7/20/2023, 12:36:17 PM

「私の名前」


ひとからよばれて 
それは自分のことだと想像できるもの

わたしを わたしだと決定づけるには
私の呼び名は まだ足りない

「おねえちゃん?」
「苗字?」
「なまえ?」
「ニックネーム?」


例えば今際の際に
この世から魂が旅立とうとした時

なんと呼ばれたら
私はこの世に留まろうと思える?

残念ながら、わたしの心の奥底に
隠されたほんとうの真実を
まだだれも探り当ててくれておらず

きっと誰もわたしを
きっと誰も私の魂を
この世に引き止めてくれはしない。
未練を残さず わたしは消えるだろう。

「私の名前」

わたしを わたしと決定づけるもの

それを探り当ててくれる人を探すため

わたしは まだいきねばならぬ。


         「私の名前」

7/19/2023, 3:21:07 PM

「視線の先には」

私とあなたの好きな物。

ピアノ曲にチョコミントアイス。

チーズケーキにブラックコーヒー。

夜のドライブ。



隣のシートに座って

同じ夜景を見て お喋りして

同じ風に当たって 笑い合って

遠くの街の花火を見て 歓声を上げて

同じ曲を聞いて 語り合う


花火の終わった夢から覚めた暗い夜空に

曲の終わった静寂の中


私の視線の先には

星のない空。

これから雨になると

あなたの浅い眠りを妨げやしないかと

あなたのことを心配してる。




あなたの視線の先には

空を見上げるわたし。

私があなたから視線を外して

黙って空を見上げているから

自分から離れていくのではないかと

わたしのことを心配してる。


ふたりの視線の先は交わらないけれど

心はこんなに

指と指を絡め合うように

しっかりと結ばれている しあわせ。



       「視線の先には」

7/18/2023, 2:15:11 PM

「私だけ」

日本一やすい店

日本一うまいラーメン屋

日本一のたい焼き 

これらが真実だったとしても

言い張っているだけだとしても

私には確かめようがない


日本一大きな湖

日本一長い川

これらも私は自分の足で

確かめたわけではなく

地図で見て 

そう言われるのなら

そうなんだろうな と

想像するだけのこと


日本一高い山 富士山

これは自分の目で確かめられる

まことの日本一


あなたの目を見て訊ねる

「私だけ?」

「そう。きみだけ」

あなたの唇からでたその言葉も 

自分の目で確かめられる

まこと であったらいいのに


         「私だけ」

7/17/2023, 11:05:05 AM

「遠い日の記憶」


すきなひととの思い出とか
ほめられたこととか
試験に合格したとか

嬉しい記憶はいつでも思い出せる
心の浅い部分に
きちんとしまわれていて
自信を無くしそうになったり
かなしくなって誰にも相談できない時
それを引き出しから出して
パラパラとページをめくって
私は虫の息をようやく
ゴホッゴホッと吹き返す



好きな人に拒否されたとか
誹謗中傷をうけたとか
あなたは要らないとばかりに
不合格になったバイト面接とか

忘れたい記憶は 
もう出てこなくて良い。
心の奥の奥に鍵をかけて
深い海の底に沈めるように
真っ暗で探せないところに
放っておく

輪郭がぼんやりしながら
いっそ風化してほしい。
やがて塵となって消えて欲しい。

そういうのをまとめて

      「遠い日の記憶」という。

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