やわらかな光
窓の外は朝日に照らされた青空が広がっている
隣では君が穏やかな寝息をたてながら眠っている
その姿が可愛くて
思わず彼女の髪を撫でた
ゆ っくりと目が開き微笑んでくれる
その笑顔につられて僕も微笑む
「おはよう」と声をかければ
彼女もまた同じように言葉を返してくれた
やわらかな光に包まれた部屋は
僕たちだけの特別な時間
子どものように
子どもの頃は、大人になるのが待ち遠しかった
あれもしたい、これもしたい、
こんな事がしたい、キラキラした夢がいっぱいあった
でも、今は違う
何か大事なものをなくしてしまった気がして
それが何なのかはよく分からない
ただひとつ確かなことは
すごくつまらない大人になってしまった
また無邪気に夢を見れるかな…
子どものように…
放課後
三階の校舎からグラウンが見える
開け放たれた窓から
秋を感じさせる少し冷たい風が吹きぬけていく
運動部の生徒たちが走り回ってる
その様子を眺めながら
私は彼を見つめていた
「私を見つけたら手を振ってね!」
付き合い始めた時に一方的に交わした約束
照れ臭いから無理だと言った彼に
「じゃあ、いいよ」
私はむくれながら口を尖らせた
手を振ってくれないのは寂しいな…
そんな事を考えていたら
不意に彼がこっちを見て
照れくさそうに小さく手をふるのが見えた
その瞬間
私の心臓が波打って
嬉しくて口元が緩む
つい大きく手を振り返した
想い出の放課後
涙の理由
頬を伝う涙
彼の後ろ姿がボヤけて見える
私の気持ちなんてこれっぽっちも考えてないよね
あなたの気まぐれな優しさが私を期待させるから
もう傷つきたくないよ
胸の奥が締めつけられて苦しくてたまらない…
「君の優しさが痛いよ
もうこれ以上、好きにさせないで」
束の間の休息
大会に向けて厳しい練習が続く
辛く厳しくても
彼らの真剣な眼差しは曇ることなく
ボールを追いかけていく
長い練習の後
疲れ切った顔をしながらも
少年のように無邪気に笑いながらグラウンドを走り回る姿は
束の間の休息を楽しんでいるようで
自然に微笑みが零れる
仲間と過ごす時間が
一瞬一瞬輝いて見えて私には眩しかった
彼らならきっと勝てるはずだ…