5/15/2022, 6:55:23 AM
メガネ屋の度数検査担当の男性店員の対応があまりにもお粗末だったからだ。
「赤と緑どちらが濃く見えますか~?」
赤ですと答え終わる前に店員は次の質問を被せてくる。
「赤ハイこちらだと―――緑、こちらは―――?」
訪問営業マンを思わせる少し高めの声は次々と言葉尻に被せてくる。彼女はつい焦って答えてしまった。
出来上がったレンズは、姿勢よくデスクワークをしたいと言う彼女の希望とはニアミスの出来栄えとなった。乱視が気持ち残っていて目的は達成出来そうにない。
「前回の視力と少し内容が変わっていましたね~」
それはあなたが焦らせるような検査をするからですよ、と思ったが言えなかった。
レンズ交換代を五千円札でぴったり支払い、不満の残る新しいレンズをかけて電車に乗った。
(…あの時流されずに答えられてればよかった)
うまく答えられなかった自分が悪いのかもしれない。あの被せしゃべりに気圧されたのは良くなかった…そう反省し帰路で出来事を反芻したが、家に着く頃には
(どう考えても店員が悪い!)
と言う結論になっていた。
そして彼女は改めて憤慨したのだった。
title「彼女は憤慨していた。なぜなら…」