眩しい。眩しすぎて目が開かない。だけど、頑張って目を開けて、顔の上に手をかざし、柔らかく浮かぶ雲のある空をを眺める。その時、心地よい風が僕を撫でる。耳を澄ますと、木のざわめく音も聞こえてくる。遠くで聞こえる人間達の声も。
雨だ雨だ、雨が来る
僕は雨が大好きだ
雷も大好き
帰り道、大雨が降っていた
僕はあえて、傘ってのをささずに雨を楽しんだ
雨に打たれ、遠くでは雷の声が聞こえる
美しい声
びしょ濡れになりながら、耳を澄まして、その声を聴く
激しい雨、ほんと最高
人間たちは濡れたくないのか、傘をさしてるけど、それ意味あるの?どうせ濡れるなら、雨を楽しまない?
まあ、人間のことなんざどうでもいい
僕は僕の世界で楽しむんだ
水たまりにダイブして、水しぶきをあげる
もちろん人間がいない所でね
帰ったら、それはもうぐっしょりと濡れていて
温かいふかふかのタオルに顔を埋めて
安心の笑みを浮かべるんだ
(題からはずれてしまった。つまり、入道雲は好きだよ、ということ。)
僕はつらいと海に逃げ込む
深夜の海は特に、気持ちが落ち着くんだ
海、風、星、月、それらすべてが僕を励ましてくれる
でも、夏が来てしまった
昼になると、人間がここに来る
僕は逃げる
夜ならまだしも、昼間はダメだ
人間が多すぎる
夏は嫌いだ、僕の逃げ場がなくなってしまうから
うるせぇんだ、人間共は
花火やら祭りやらで夜もうるさくて、眩しくて
ほんと、落ち着けやしない
はぁ、しばらく僕の逃げ場はなしか
深夜の海はいいぞ
誰にも邪魔されず
波の音に身を委ねて
月明かりに照らされて
朝が来る
いい空気
でもたまに人間が来る
日が昇れば、ここは僕の場所ではなくなる
僕に僕の場所はない
いつか海を見せてあげる
あの約束をしてから幾年が経つだろう
彼との約束が、泡のように消え去ってしまった
僕は外に出たことがない
ひとりでは何も出来ない
歩くことさえも
どこにいるの?会いたいよ
また僕の車椅子を押して、一緒に出かけようよ
そんなことも、もう叶わない