目に映る景色がリアルとしたら

何も見えない世界は幻だ

漏れなくそれは当たり前のことで

ただの逃避と何も変わらない

しかし、幻は人が脳に作る絵画

目を開けていれば見られない絵画

眠る時、逃げる時、リアルに疲れた時、人は

皆、己の画廊に入っている

――サメの言うことにゃ

瞳を閉じて

精神的なものは大事だけど

物理的なものが嬉しいのも当然

貰えることは当たり前じゃないし

贈ることもそうそう出来ないこと

サプライズしたい本性も正しくて

本当に喜ぶものを与えたいのが性

でも何より大切なことは

相手のことを考えることだと思う

――サメの言うことにゃ、

あなたへの贈り物

北へ歩めど氷の大地は見つからない

気を落としたって仕方がない

東を通っても黄金は見つからない

何が正しいかなんてその時にしか分からない

西の方を尋ねてもレンガ通りは見つからない

取り残された人々は思い馳せるしかない

南を下っても暖かき世界は見つからない

ここにある道を進むしかない

――サメの言うことにゃ、

羅針盤

寝ても醒めても明日は来る

望まれても望まれていなくても

何もしなくたって向こうから来る

条理的な不条理だ

憂鬱な気分で満たされて

酷く落ち込んだ雨曇り空

流れに流され洗い流される心に

ちっぽけな希望をしまい込んだら

――サメの言うことにゃ、

明日に向かって歩く、でも

「僕」は1人で、「彼女」も1人

「みんな」は分からない

「彼」は1人で「あいつ」も1人

「全員」は何人？

「君」も1人しか居ない

僕が示す「君」は、1人だけ

「誰」だって聞かれても分からない

君のことしか目にないんだから

――サメの言うことにゃ、

ただひとりの君へ