いつもの帰り道
じゃあ またね
ぼくたちはいつもそう言って
別々の道で家まで歩く
いつまでも変わらなければ
そう願ってしまうのは
ぼくがまだこどもだからかな
いつもの道でいつもの他愛ない会話
くだらないこの時がぼくの宝物
きみは気付いているかな
きっと気付いているよね
きみはぼくよりおとなだから
いつもの道でいつもの他愛ない会話
くだらないこの時が
いつか思い出になることを
でも最後までぼくたちは
じゃあ またね
そう言って別々の道を
歩んでいくんだろう
きみとぼくはいつまでたっても
じゃあ またね
そう言える仲でありたい
じゃあ またね
ちょっと荒れそうな予感
なんか雨が降りそう
アスファルトに落ちる音
なんか雷が鳴りそう
遠くで轟く荒々しい音
太陽が出てきた
ムシムシした匂い
キラキラした滴
蝉の合唱がまた始まる
今どんな顔をしているのだろう
笑ってる 泣いている
呆れてる 怒ってる
きみの顔はわかるのに
ぼくの顔はわからない
今どんな気持ちなんだろう
楽しい 悲しい
嬉しい 辛い
ぼくの気持ちはわかるのに
きみの気持ちはわからない
きみの目に映るぼくの顔
ぼくの耳に聞こえるきみの声
独りじゃわからないことも
きみといればわかる
ずっとそんな関係でいたい
進むたび こぼれ落ちてゆく
掴むたび すり抜けてゆく
どんなに欲しても きりがない
どれだけ望んでも あきがこない
大切に仕舞ったつもりで
いつの間にかなくなっている
ポケットに穴があいているのか
アップリケを縫いつけたはずなのに
何度も捨てたつもりの希望だけは
ずっとずっと纏わりついている
お腹は満たされず
安心して眠られず
暖すらとられず
生活の足しにならないもの
どんなに取り巻く環境が変わろうと
どんなに他者から批判を受けようと
どんなに窮地に追い込まれようと
これさえあれば笑って過ごせる
自分が自分であるために必要なもの
時には変容を受け入れて
執着しちゃいけないよ
自分勝手なぐらいがちょうどいい
肩の力を抜いて
誰も見られない 心の中で胸を張れ