1/10/2023, 10:25:04 AM
「20歳かあ」
「もう3年も前だよ」
「私たちなんてもうおばさんだよ、お・ば・さ・ ん」
振袖姿の女の子たちを喫茶店の窓越しに見つめながら言い合う。同い年の仲間内では度々こんなやり取りをする。もちろん私もこれにノる。
けど心の中では、全然おばさんだなんて思ってない。20歳と23歳なんて、長い人生の中で見たら誤差だ。ほとんど同じだ。
私たちも、窓の向こうのあの子たちも、同じなのだ。まだまだ若いのだ。そんな風に考え始めたら、よし、となんだか気合が入った。
『20歳』
1/10/2023, 10:05:40 AM
今日の月は三日月なんだそうだ。
余裕のない毎日を過ごす私には、今日の月を知ったところでそれを眺める余裕もやっぱりないもので。「ふうん」とそう思うだけで。月を眺める時間があるなら1分でも、1秒でも早く眠りに着きたいと思ってしまうのだ。
…のだが、なんとなく、なんとなく今日は窓の外を見上げてしまった。満月ほど明るくなく完璧な形でもない、優しいとも弱々しいとも言えるその光を、満たされてはいないその形をぼうっと眺めた。
こんな月なら眺めてみるのも悪くないかもしれない。
『三日月』