2/25/2024, 5:14:23 AM
「mother」
出生の秘密────なんて大袈裟なこと、知りたくなかった。
だから、母親のことなんて、名前すら知りたいとも思わない。
遺された子供の気持ちなど、まったく考えていない。
自分の命と引き換えに産むなんて、虫と同じだ。
二度と会えない男の子供を命懸けで産むなんて、正気の沙汰とは思えない。
俺はずっとそう思っていた。
だが、母のことを知る人物から語られる真実は、それを覆すことばかり。
俺にこの世界を見せたかった母。
最期の言葉は光を灯し、道標となっていく。
────小さな命