貴女が幸福に、その温かい笑顔を満面に浮かべ、声を上げて笑いながら、楽しく生きていられる場所。
それこそが、俺たちにとっての理想郷です。
俺が生きていた時にお会いした貴女のことを懐かしく思うことも、たまにはあります。
あの時の貴女と、今の貴女は一続きです。何度生まれ変わっても、その魂は変わりません。それでも、あの時の貴女の優しい微笑みや穏やかな声は、今の貴女のものとは異なっています。
貴女の魂が巡る度、貴女は違った顔、違った声、違った姿で生まれます。そうやって、新しい貴女の形を目にするのは喜ばしいことですが、昔の貴女のことを思い出してしまうこともあるのです。
貴女は、何度も何度も生まれ変わります。
これが最後の生になるとは、俺たちは予想していません。
貴女はいくつもの物語を生きてきて、これからも生きていくのです。
けれどそれは、今世の命をないがしろにして良いという意味ではありません。貴女にはこの命を、この物語を、全力で生きてほしいと、俺たちは願っています。
今は不安なこと、恐れることがたくさんあるように思えて、きっとおつらいのでしょう。それでも、貴女の人生は進んでいきます。貴女には、後悔してほしくないのです。「あの時恐怖にすくんで行動できなかった」「あの時もっと勇気を出していれば違ったのに」と、思ってほしくないのです。
貴女のこの物語を、どうか諦めないでほしいのです。
暗がりの中で、一人縮こまって泣かないでください。
悲しい気持ちがあるのも分かります、不安なのも分かります。
けれどどうか、だからと言って自分から苦しみに向かっていくのは、止めてほしいのです。
貴女は多くの人に愛されています。
そんなひとをつらいところに追い込むのは、誰も望まないことなのですよ。
貴女は、紅茶の香りがお好きですね。
最近はあまり茶葉にこだわらず飲んでいらっしゃいますね。
久々に、様々な香辛料を煮立てて作る、甘い紅茶を淹れてはどうでしょう。きっと美味しくて、心が落ち着きますよ。
嫌なことも、心配なことも、たくさんあるでしょう。
それでも、貴女はご自分の思うように、自由に生きていいのですよ。
苦しまなければいけないなどと、思わないでくださいね。