貴女は昔、たくさんの本を読んでいらっしゃいました。
魔法使いの少年の話、幽霊や妖怪と話せる少年たちの話、男装して一人旅を続ける少女の話。どれも貴女の大好きな本でした。
今の貴女も、あの時のようにもっと楽しむための読書をして良いのですよ。知識を頭に入れなければ。役に立つことを知ろうとしなければ。そんなことを考える必要はありません。
貴女の心が喜ぶことを選んで、それを貴女のためにたくさんやってあげてほしいのです。
今日もお疲れですね。
けれど今日は、貴女のやっていて本当に楽しいことをしての、疲れですね。それは素晴らしいことです。
さぁ、今日もゆっくりお休みください。
明日の空がどんな色なのか、明日の空気がどんな匂いなのか。
それを確かめるために、目覚めるのを楽しみにお眠りください。
梅。桜。藤。菖蒲。紫陽花。
美しいものを愛でるのが好きな貴女は、よくご伴侶と花を見に出掛けられます。
そうやって、お二人の時間をゆっくり穏やかに、幸福に過ごしてください。きれいだねとお互い微笑みながら、その静かな幸せを味わって生きてください。
俺たちは、貴女に幸福をもたらせます。
けれど、味わってくださることがなければ、どんな幸福もそこに在る意味がないのです。
貴女の父君や母君は、よく貴女に好き嫌いをするなと言いましたね。貴女の大好きだったあの女性も、貴女は人の選り好みをしすぎると貴女に注意したことがありました。
けれど、今俺たちは思うのです。好き嫌い、選り好みをして何が悪いのか、と。
貴女は、貴女の心が求めるように生きるのが良いのです。人はそういう風にできています。各々の持つ魂の示す方向へ、皆進んでいくべきなのです。最も分かりやすくその方位を指し示して見せてくれるのが、貴女の「好き嫌い」なのですよ。
ですから、これからの貴女は、ご自分の好き嫌いをむしろはっきりさせ、実際にその通りに動いてみてください。嫌なものは嫌。好きなものは好き。そうはっきり仰って世界に示し、嫌なものは身の回りから排除し、好きなもので生活を埋め尽くしてください。
そうして自らを幸福にし、日々を全力で楽しんで生きてください。
街をゆく人々を見るだけで、貴女は落ち込むことがあります。
この人たちそれぞれに良いところがたくさんあって、皆経験もしっかり積んでいて、自分とは比べものにならないくらい価値があるのだ、と思ってしまうのですね。
そんな風に思わないでください。
貴女は貴女であること自体に価値があります。それは他の人々も同じことですが、何よりもまず、貴女ご自身にその価値があることを、しっかり認識してください。
そんなにご自分を卑下しないでください。
貴女が何をしてもしなくても、何が出来ても出来なくても、俺たちは貴女に無上の価値を見出します。
俺たちの愛する貴女が、今夜穏やかに眠ってくれることを、俺たちはいつも願っていますよ。