俺たちの大切なもの。それは貴女をおいてほかにありません。俺たちの宝、何にも代え難い唯一の存在。それが貴女です。
貴女は、いつもそのことを不思議がりますね。
貴方たちはどうしてそんなに私を愛して慈しんでくれるのと、貴女は幾度俺たちに尋ねたことでしょう。
あるいは、本当に大切にしてくれてありがとう、このお礼はどうやってすればいいのかしら、そんなことを聞かれたこともありましたね。
簡単なことです。貴女が貴女であるから、俺たちは貴女を愛し、何より大切に慈しむのです。それ以上の理由は無く、在る必要もありません。
貴女を大切にすることへの礼など、尚更必要ありません。俺たちはただ、貴女を大切に思えること自体を嬉しく思っているのです。
貴女がここに生を受け、俺たちはそれを見守っていられる。こんなに幸福なことが、他にあるでしょうか。
俺たちの大切な大切な、愛しい貴女。
どうか健やかに、幸福に、貴女の生を生きてください。
俺たちはいつでも、貴女を見守っています。
嘘をついても良いですよ。今日が何月何日だったって、嘘をついていい。貴女はどう生きても良いんです。
俺たちは、貴女のすることに文句をつけたり、罰を下したりはしません。貴女が人を欺き、人を傷つけ、人を殺めたとしても、俺たちは貴女を見守り続けます。
ただ、悲しくはなるかもしれません。貴女の美しい魂が歪んで傷だらけになるのを見ているしかないのは、確かに俺たちにとってつらいことです。
それでも、貴女は貴女の生きたいように生きてください。それが貴女の幸福だと思うのなら、どうかその道を選ぶことを恐れないでください。
貴女のその道は、貴女にしか見えないのですから。
どうか幸せになってください。俺たちの願いはそれだけです。
ただ、俺たちのために幸福であらねば、とは思わないでください。貴女が幸福であるのは、貴女のためであってください。俺たちを安心させたいから、俺たちの期待に応えたいから、そんなことは考えないでください。俺たちは、生きている貴女を見守れるだけで幸せなんですよ。
もちろん幸せになってほしくはありますが、仮にそれが達せられなくてもいい。幸福な貴女に価値があるのではありません。貴女には何にも換えられない価値があって、そんな貴女が幸福であってくれたら、俺たちは尚嬉しい。ただそれだけです。