たくさん、たくさん、部屋の隅で泣いた
何か有ると毎回部屋の隅で泣いてしまう
でもそれが一番落ち着く
# 15
「ねぇ、焦ってるの?」
「な、何でだよ」
「いや、本」
「本?何時も通りじゃねぇか」
「はぁ、だから逆さま!!君が何かに焦ってる証拠!」
「あ、やべ」
「で?ちゃんと言おうね?」
「....はい」
# 14
「寝れない...」
どうしたものやら....。
四年前、二人の友人が私の前からいなくなってしまった日からだ....夜も昼も朝も寝れなくなった。
一人は何処か別の場所に行ってしまった。
もう一人は私の前で死んでしまった。
本心はとても寝たいのだが、夢に出てきてしまう。
あの日の出来事が。
あの日目の前で友人が亡くなってしまった日の事を。
「おい」
「げっ、何でいるのさ」
「四年振りに会いに来てやったんだよ。どうせまた寝れねぇんだろ」
本当君はいつも私の本心を突いてくる。
全てをわかった上で来てくれる。
「前みてぇに一緒に寝てやろうか?」
莫迦にしたように言ってくる。
でもそれも不器用な彼の精一杯の気遣い。
「....頼もうかな」
「手前の見る夢っていうのは、眠れないほど怖いのか?」
「君にはわからないさ」
ほら、またこれだ。
嘘をついてないとやっていけないなんて、私も駄目だなぁ。
「いや、わかるな。俺だって、人間じゃねぇって言われるし、手前がいなくなってからもずっと....」
嗚呼、やっぱり。
彼も私と同じだった。
眠れないほどに怖い夢を見るのだ。
「また、来てよ」
「おう」
「じゃあ、よろしくね」
『おやすみ』
お互いに怖い夢を見る。
でも、其れは、一人で寝たときのみ。
側に彼がいて、彼の側に私がいる。
だから、安心して寝ることができるのかもしれない。
# 13
人は偽りという名でできている
偽って偽って、偽り続ける
其れで成功する人間もいる
だが、破られる人間もいる
偽り続けた先が
どん底の人間だっている
でもきっと其の偽りにはきっと
理由が有ったんだ
# 12
「何...するつもりだよ...」
「....見ればわかる、自殺さ」
「いやだ、逝かないで....お願いだから、お前迄俺の前から消えないでくれ...いなくならないでくれ」
それは、ちょっと無理なお願いだなぁ。私はもう逝く事を決意したわけだし、漸く此の世界とさよならができるんだ。
「ねぇ、来世ではたくさん話そう」
「今じゃ駄目なのかよ」
「うん、じゃあ....さよなら」
下の方で嫌な音がした。
そして人の叫び声や混乱の声。
「こんなの呪いじゃねぇか。さよなら何て言うなよ....」
# 11