おと。

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「寝れない...」
どうしたものやら....。
四年前、二人の友人が私の前からいなくなってしまった日からだ....夜も昼も朝も寝れなくなった。
一人は何処か別の場所に行ってしまった。
もう一人は私の前で死んでしまった。
本心はとても寝たいのだが、夢に出てきてしまう。
あの日の出来事が。
あの日目の前で友人が亡くなってしまった日の事を。
「おい」
「げっ、何でいるのさ」
「四年振りに会いに来てやったんだよ。どうせまた寝れねぇんだろ」
本当君はいつも私の本心を突いてくる。
全てをわかった上で来てくれる。
「前みてぇに一緒に寝てやろうか?」
莫迦にしたように言ってくる。
でもそれも不器用な彼の精一杯の気遣い。
「....頼もうかな」
「手前の見る夢っていうのは、眠れないほど怖いのか?」
「君にはわからないさ」
ほら、またこれだ。
嘘をついてないとやっていけないなんて、私も駄目だなぁ。
「いや、わかるな。俺だって、人間じゃねぇって言われるし、手前がいなくなってからもずっと....」
嗚呼、やっぱり。
彼も私と同じだった。
眠れないほどに怖い夢を見るのだ。
「また、来てよ」
「おう」
「じゃあ、よろしくね」
『おやすみ』
お互いに怖い夢を見る。
でも、其れは、一人で寝たときのみ。
側に彼がいて、彼の側に私がいる。
だから、安心して寝ることができるのかもしれない。

# 13

12/5/2023, 1:33:37 PM