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1/25/2026, 10:18:19 AM

音を出してはいけないよ
声を出してはいけないよ
そうさこれはかくれんぼ
怖い鬼に見つからないよう
身動ぎしてはいけないよ
扉を開けてはいけないよ
だってこれはかくれんぼ
恐い鬼に気付かれないよう
泣いてしまってはいけないよ
怒ってしまってはいけないよ
だって君は可愛い子
復讐の鬼にはならないよう
約束約束指切りげんまん
幸せに生きてそれだけで
錠を落とした扉の外
僕は勇者になれるはず

‹安心と不安›


写真を撮ってほしいと古いカメラを渡された
アナログなそれに手こずらないよう
丁寧に丁寧に教えてまで
普通のデジタルので良いじゃないかと言えど
これが良いのだと譲らない

朝日の昇る様を背に
1枚だけのポラロイド
真っ黒に現像されていく
その表情を見れたのは

‹逆光›


何もかもがありました
平和な日々も
穏やかな時間も
満たされた心地も
大切な人たちも
何もかもがありました
何もかもがありました
あのひとが誓った白い花の
指輪にそっと口付けて
何もかもがありました
夢の中なら何もかも
現から必ず辿り着くと
約束をしたひとだけが

‹こんな夢を見た›


好きな時間に行けるなら
どこに行きたいと問うてみた
ずっと未来と無邪気な笑顔
宇宙の終わりを見に行きたいと

成程この子は
だから今

‹タイムマシーン›


机の上は準備万端
ケーキを切ってお酒を注いで
時計の針が頂点を
目指すまでわくわくした瞳
0のコールも高々に
グラスを呷って背から倒れて
大人の最初の一口目
笑っちゃうくらいに苦かった

‹特別な夜›


例えば例えば暗い海の
例えば例えば深い底
きっと誰にも見付からず
潰れて消えてしまえるのに
どうしてもそこへいけないの
どうしてもそこへいけないの

‹海の底›

1/25/2026, 9:59:21 AM

突然駆け出したくなるくらい
突然わくわくしてしまうの
突然見たくなるくらい
突然どきどきしてしまうの
突然声が聞きたくて
突然突然電話をしたの
ずっとずっとずっと静かで
誰にも誰にも繋がらないの

‹君に会いたくて›


ガラスケースの中、一冊の本があった。
古い古い本で、誰にも触れられないよう
厳重に守られていた。
だから怪盗になろうと思った。
最後の日の記録を見たくて。
君の答えをどうしても
どうしても知りたかったから。

‹閉ざされた日記›


「木枯らしってその内
 夏の季語になりそうね」
「暑過ぎ立枯れ注意ってか
 やかましいわ」

‹木枯らし›


絵具を混ぜていました
赤をピンクを
黄をオレンジを
緑に青に紫に
虹の色を作りたくて
混ぜました一つ残らず
白も黒もはだ色も
黄緑水色灰色も
全部全部混ぜました
そうしてできた酷く濁った
そんな色が好きでした

‹美しい›

1/15/2026, 11:56:44 AM

世界の果てには何があるだろう
それは滝だと誰かが言った
それは闇だと誰かが言った
それは無だと誰かが言った
世界の果てをその目で見たのか
問えば誰もが首を振った
そんなものかと口を噤んだ
昔戻らなかった幼馴染が
反対から帰ってきたのほ
つい最近のことだった

‹この世界は›


どうして眠たくなるのかな
生きているからと鳥が言った
どうしてお腹が減るのかな
生きているからと牛が言った
どうして他者を愛するのかな
生きているからと豚が言った
どうしてこんな苦しいのかな
死んでしまうからと誰かが言った

‹どうして›


大人になったら何になりたい
来年になったら何がしたい
明日になったら何を食べたい
目が覚めたら 何が

‹夢を見てたい›


家族とずっと家族でいたくて
友達とずっと友達でいたくて
そう願っただけなのに
「友達じゃいられない」なんて
そんな目をして言わないで

‹ずっとこのまま›


塩が多いと凍りにくいと聞いた
塩辛い液体は成程確かに
痛む程冷たいが硬さはなく
ころりころり美しい球が
きらりきらりと揺れている

‹寒さが身に染みて›


20歳は身体の大人
18歳は精神の大人
16歳頃儀式の大人
君が大人になる頃は

‹20歳›

1/9/2026, 10:22:09 AM

真っ暗な夜から三日目の
空に浮かぶ目が嗤っている
白い眼をきゅうと撓ませ
地で祈るヒトを嗤っている

‹三日月›

1/9/2026, 9:06:57 AM

もしも君の人生に
足跡一つ残せるなら
喜びを知り怒りを知り
哀しみを知り楽しさを知り
勝利を敗北を才覚を努力を
道理を理不尽を優しさを
献身を痛みを絶望を希望を
刹那を永遠を夢を愛を
知って知って生きてきた君の
人生に一つ残せるなら

‹色とりどり›


雪が沢山降ったから
雪が沢山積もったから
二階の窓から足踏み出して
高く高くの空中散歩
雪が沢山降ったから
雪が沢山積もったから
一階の窓から穴掘って
深く深くトンネルを
雪が沢山降ったから
酷く脆くて重いから
気付いて気付いて気付いてね
扉を開けてしまう前に

‹雪›


例えば君にゆるされるなら
地を踏みしめる感動を
例えば君にゆるされるなら
出会いの奇跡に祝福を
例えば君にゆるされるなら
挑戦の意思に歓楽を
例えば君にゆるされるなら
悲嘆の別れに労りを
例えば君にゆるされるなら
目指す先への尽力を
例えば君にゆるされるなら
栄誉なる死に同行を

‹君と一緒に›

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