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5/22/2025, 3:48:37 AM

何処かの国で日が昇る時
僕らの空には月がかかる
何処かの国で雪が降る時
僕らの地から水が消える
何処かの国で王が立つ時
僕らの街から葬列が発つ

‹Sunrise›


吐いた息が白く染まる
ふわり空へ解けていく
吐いた息が泡を形どる
こぽり空へ昇っていく
吐いた息が灯を揺らす
ふつり光が消え落ちる

‹空に溶ける›


丁寧に繕って丁寧に手直しして
あの人に貰った贈り物
丁寧に扱って丁寧に飾り直して
あの人が最後にくれたもの
何年経っても手放せない
手放す気はさらさら無い
きっと墓場まで持って行く
あの人と隠した秘密のこと

‹どうしても…›

5/19/2025, 9:48:19 AM

まってと後から声が掛かる
「それじゃ分からない」と彼女は言う
駆ける脚は蝶の様に
ふわり宙を舞っている

まってと後から声が掛かる
「それじゃ分からない」と彼は言う
止まる呼吸は骸の様に
静かに過ぎるを待っている

まってと後から声が掛かる
「それじゃ分からない」と誰かが言う
「名前を呼んで」「正確に言って」
「そうじゃ無ければ分からない」
「君のことなんて分からない」

‹まって›


何を努力したら幸せになれますか
どの道を行けば手に入りますか
いつなら動いてもいいですか
誰の隣なら居られますか
どうして
どうしたら私にも『普通』が得られますか

‹まだ知らない世界›

5/16/2025, 11:52:51 PM

あの子が夢を叶えられるなら
あの子が大人になれるなら
僕もうそれで良いからさ
あの子が平穏に愛されるなら
あの子が幸福に生きられるなら
僕もうそれで良いからさ
あの子の近くにいられなくても
あの子と言葉を交わせなくても
あの子達の未来を守れるなら
僕もうそれで良いからさ
僕もうそれで良いからさ
あの子達が笑っていられるなら
それだけで世界を救えるから

‹手放す勇気›


暗ければ暗い程 スポットライトは眩いから
闇深ければ深い程 光は強く目を惹くから
君の素晴らしき舞台の為
未来の輝かしい瞬間の為
この舞台を黒く染めよう
邪魔者たちの罪深き血で
汚さぬように深く暗く

‹光輝け、暗闇で›

5/14/2025, 2:06:28 PM

息を吸って 息を吐いて
いつもみたいに? いつもみたいに
空気を呑んで 空気を出して
当然みたいに? 当然みたいに
息を吸って 君の前
息を止めて 君の前
当たり前みたいに? 当たり前みたいに
呼吸をとめて 君の前
呼吸をやめて 君の前
居ないみたいに? 居ないみたいに
生きるに大事な一欠片
君みたいに? 君みたいに

‹酸素›

5/14/2025, 9:46:59 AM

糸に針を結わえて
ぽんと放り投げれば釣れるような
そんなふうだったら良かったのに
君の好きだった海釣りを
私は見たことはないけれど
狙って投げれば針の先
いつかはいつかは引っかかるような
そんなふうだったら良かったのに
君と家族の思い出も
君と友人の思い出も
君と私の思い出も
そんなふうにそんなふうに
君が思い出せるなら
君が孤独にならないのなら
そんなふうだったら良かったのに

‹記憶の海›

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