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4/8/2025, 9:44:46 AM

「紫陽花の花って実は花じゃない部分じゃん」
「有名だよね」
「花びらって受粉の虫の為の目印じゃないの」
「それは諸説ある」
「…交尾自体は植物間のみってことは、
 花びらと虫って実質勝負下着と当て馬間男では」
「情緒の殺害記録更新すなー」

‹フラワー›


いつもの横断歩道
 を通り過ぎて
たまに行くお店
 の角を曲がって
初めて通る川沿い
 を真っ直ぐに
入れなかった門
 をくぐって
紅白を飾る玄関口
 で新しい靴を履いて
今日から新しく一年生
 の切符を手に胸張って

‹新しい地図›

4/6/2025, 9:50:23 AM

「このお店のこのお菓子でしょ」
「この形にこの色でしょ」
「この季節にこの時間」
「この場所で」
「あの子と」
「知ってるよ、何年の付き合いだと思ってんの」

‹好きだよ›


蕾の枝を折り採って
煮込んで煮出して布を染めた
綺麗な花の色を移した
春のような布だった
それを断って縫い合わせ
仕立てた着物は美しく
それを纏った子供もまた
春の精のように艶やかで
花が筏に散った頃
その子もまた姿を消した

‹桜›

4/4/2025, 3:39:26 AM

「助けたかったんだ」
知ってるよ
「お前に生きていてほしくて」
分かってるよ
「そのためなら何だって犠牲にしていいと」
君の愛はそういう形をしていた
でもね
「生きていて、欲しかっただけなのに」
でもね、
こんな広い世界に一人切りにされるなら、
君と共に逝ったほうが幸せだったよ

‹君と›

4/2/2025, 10:57:09 PM

風船も
ロケットも
言葉も煙も届かないのに
祈りだけは届くって
不思議だね

‹空に向かって›

4/1/2025, 10:36:15 AM

軽く細やかに駆ける脚
その靴音を聞くことが怖かった
丸く大きく開かれた眼
その視界に入ることが怖かった
差し出された小さな手
その柔さに触れることが怖かった
成長途上なアンバランス
その壊しそうな体躯が怖かった
優しく張られた高い声
その一言目はいつも変わらない
何度出会い直しても
その早熟過ぎた子供を救えない

‹はじめまして›

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