ひそかな想い
ねぇねぇ、先輩、好きだよ。
伝わってるかなこのきもち。って、そんな訳ないよね、言ってないもん。
言ったところで、先輩から見た私は“ただの後輩”だし、これからずっと、私は先輩の“後輩”なんだから。
実はちょっとね、羨ましいんだ。
先輩の友達が。私に見せない顔するじゃんか。私としないような会話するじゃんか。私には、
あーあ、私も一年早く生まれれば良かった。そうしたらおんなじクラスになって、一緒に修学旅行とか行けたかもしれないし、部活以外にも接点あったかもしれない。
悔しいなあ
でもねへこたれたってしょうがない。きっと、先輩も“後輩”にしか見せない顔があると思うから。部活でしか見せない顔があると思うから。
先輩覚えてる?一緒にオーキャン行ったよね。買い出しだって行った。その時の記憶は、私と先輩だけだよね。じゃあもうなんでもおーけー!特別があるから!
先輩はもうすぐ受験だね。
オーキャン行ったとこ受けるのかな。そんなことも聞けないけど、でも。この想いよ、届け。
「先輩!受験頑張ってください!!」
時間よ止まれ
受験生になりたくない
嫌だ
時間よ止まれ
((((めちゃくちゃ切実に))))
君の声がする
「………ねえ」
「なに」
「…ううん」
「なに」
「…」
「だから何さ」
「なんでもなーい」
「何よ」
「……おやすみ」
「それだけ?」
「うん」
「……おやすみ」
今日が、終わる
君の、声がする
ありがとう
小学生の時、ちょっと気になっていた男の子が
「ありが10匹で何?」とよく言っていました。
私は彼に何かをしたのかもしれないし、何もしていなかったのかもしれない、ほとんど覚えていないんです。
でも、今その事を思い出して、とても彼を愛おしく思います。
そっと伝えたい
塾帰り、部屋の電気をつけるとあっためられた部屋
ラップがかけられたご飯
お疲れ様のメッセージ
「いつも、ありがとう」
そっとひとりごとを呟く。
ちゃんと伝えられるようになるのは多分もうちょっと大人になってから。