【色がない毎日】

今日も私は透明な部屋の中にいる
毎日、毎日
明日こそは色がつけばいいなと思うのに
いつまでたっても色がつかない
私だってみんなみたいに
ピンクとか黄色とか赤色とか
色が欲しい
青や黒でもいいから
せめてこの透明な部屋から抜け出したい

【正しい道】

あの日のことを今も思い出す
私にとって最悪で最高だった日

私にはずっと片想いしている人がいた
小学生の時から仲のいいクラスメイト
彼は昔から陽気でクラスでも人気者だった
そんな彼と付き合うのは私だと信じてきた
それなのにあの女はぽっと出てきて
私から彼を奪った
自分は彼のことを好きだと匂わせ
そしてあの日、高校の文化祭の日に公開告白させ
あの女は彼をみんなの前で振った
振られた彼はしばらく死人のように動かなかった
その後も今までのような笑顔も見せなくなったが
私は彼を励まし続けた
そして大人になった今こうしてウエディングドレスを着て彼の横に立っている

今私たちはとても幸せだ
だからこの秘密だけは隠し通さなければならない
彼が惚れたあの女は私の親友だということ
私が彼女に彼を惚れさせてとお願いしたこと
そして盛大に振って苦しませてと頼んだこと
彼が弱ってるとこに漬け込む作戦だったということ
全部全部間違いだったとしても
しょうがなかったことだ
私が幸せになるためには
正しい道だったのだから

【世界で最も醜い雫】

世界は、嘘か本当かなんてどうでも良くて
結局は信じたい信じたくないで決まる
綺麗なあの子は善人
あの子の目から出る大粒の雫は
誰よりも美しく透き通って誰もが見惚れてしまう
同じ人間なのに
あの子が泣くだけで私は悪者
醜くても美してくてももうどっちでもいい
もうなんでもいい
だから、一生のお願い、
どうかこの涙は見ないふりして