6/14/2023, 2:21:34 PM
「あいまいな空」
チックタック。
ふと時計を見ると時刻はちょうど4時を指している。
そろそろ夕飯か。
少し早いが、冷蔵庫の中身を覗いておこうと腰を上げると目に入ったのは、夕焼けだ。
じっと見ていると、綺麗なオレンジ...と少しピンクがかっていたり、紫色だったり、少し青い色も入っており、たくさんの色が混ざっていることに気づいた。
一見オレンジしかないように見えるものの、こんなにいくつもの色が混じっているとは。
20数年この世に居るが、不思議とあまり意識する事は無かったので、少し新鮮な気分になる。
厄介なことに夕焼けを見るといつも、あの同居人。エマを思い浮かべてしまう。
生まれつきなのか、すごく発色の良いオレンジの髪を持っているエマと綺麗な夕焼けを自然と合わせてみてしまう。
...エマも、一概にクズとは言いきれないし、夕焼けと似たような物なのかもしれない。そんな考えに思い浸っていると、後ろからドアの開く音がした。
「零士さ〜ん...また負けちゃいましたぁ」
「うちにはそんなパチンコに使うお金なんてないはずだが?」
「お金はもちろん生活費からアアアアアア」
エマの発言を遮って思いっきりプロレス技をかけながら、誰かに言ったわけでもないのにも関わらず、さっきの考えを前言撤回と必死に連呼している。