七汐

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9/5/2024, 10:30:26 PM

貝殻ひとつ おかあさんの

貝殻ふたつ おとうさんの

貝殻みっつ わたしの

貝殻よっつ みーちゃんの

貝殻いつつ あいせんせいの

貝殻むっつ えんちょうせんせいの


まだまだいっぱいある
おともだちみんなにくばれるかしら

せかいじゅうのひとみんなにわたせるかも
せかいじゅうのひとみんなとおともだちになれるかな



「貝殻」

9/4/2024, 10:33:47 PM

引越しなんかしたくない

もう6年生だし仕方ないってわかってるけどやっぱり納得できない


この前学校で西日本と東日本で味付けが違うって聞いた
友達と同じ中学に行くと思ってた
ブレザーの予定だったのに学ランらしい
みんなと連絡先交換出来なかった
東京の人はみんな冷たいって聞く
海だって僕のとこの方が綺麗
空気も汚いってテレビで言ってた
漁師のおじちゃんと同じ船乗るって約束した
ゆうたと夏休みに電車で旅しようって約束したのに

全部全部違うのに


窓から見える海のきらめきだけは僕の町と同じだった



「きらめき」

9/2/2024, 10:30:42 PM

君は僕の心の灯火に燃料を与えてくれる。
君は「重い」と言うのだろうけど。

君が笑った時、
ありがとうと言ってくれた時、
僕を褒めてくれた時、

僕の灯火は笑っているかのようにふよふよと揺れる。



「心の灯火」

8/31/2024, 6:31:28 PM

容姿端麗で文武両道のあの子
博識なあいつと仲良くて

そんな2人を見ている僕は
何にも持ってやしなくて

何か身につけようと陸上部に入ったけど
なんの成果も出していない

親父のギターを借りて練習してみても
兄貴に英語を習ってみても

なにも
なにも

その時才色兼備のあの子に声をかけられた
「その絵私好きだよ」


なにもじゃなかったらしい



「不完全な僕」

8/27/2024, 5:11:08 PM

最悪だ
雨が降っている
降らない予報だったのに
傘も持っていないのに

仕方がないからリュックからバインダーを取り出し、傘代わりにして歩き出す

プラスチックのバインダーに当たる雨音が何となく懐かしくて、もういいかとバインダーを下ろし歩いてみた
小さい頃は雨が好きだった
傘を差すというのが1歩大人になったような気がして晴れの日も傘を差していた

リュックの肩紐をぎゅっと握り、水溜まりの中に入ってみた
あんまり楽しくないなと思ったところでふと思い出した
バシャバシャと足踏みをしていた気がする
ただ入るだけでは面白くないのは当たり前だ
現に靴下まで濡れてぐちょぐちょしていて不愉快だ

試しにその場で軽く足踏みをしてみる
足を下ろすと水が跳ねる
持ち上げると澄んだ水の中で土がふわりと浮かび濁る
じっと観察してるうちに少しだけ楽しくなった



「雨に佇む」

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