流れる人の波を見ていた。
無表情に過ぎる、群れるのに孤独で、
過ぎれば消える、一つの塊に変って。
端から見る俺も、それの一部だろう。
自覚する自分に、否定する己がいた。
流れる人の波を見ていた。
交わるは苦痛か、だが孤独は恐れた。
一人で生きても、群れにまた潜った。
群衆は海に似て、俺もまた水だった、
群れに流されて、何れ波になっても。
流れる人の波を見ていた
俺もそこへ行くのか
窓越しに眺めた、それは許しか。
少なくとも救いではない。
#窓越しに見えるのは
未来なんて言わないで
最低な気分になるんだ
救いなんてなかったね
そんな風に笑う貴方が
酷く美しく見えたので
私は最悪な気持ちです
愛したいと泣かないで
愛せない貴方が好きで
きっと私は嘲笑ってた
泣かないでと嘲笑って
それを愛と言うのなら
何よりもそれが何より
最悪だなと口をついた
#最悪
どこへ行くと、
尋ねる声が聞こえる。
行く宛など無いのだろうと、
言外に含みを持たせて。
そんなの聞くなよ、
答えは知ってるだろ。
その通りだよ。
ただ、ここではない気がしたんだ。
逃げるように走っても、
目的地なんて無かった。
ただ行きやすい見栄えの良い何かを、
夢なんて読んでいただけ。
何でも無いような振りをして、
逃げるように去るんだ。
愚かに見えるかい。
これでも必死なんだよ。
#ただ、必死に走る私、何かから逃げるように。
「願い事とか無いんだ、叶わないと辛いから」
形だけ作った笑いから上げた口から、
ため息混じりに彼女は言った。
「願ったことは大概、叶わなかったから、
私の願いはそういう物になるんだ」
諦めた様な口振りで、自虐的に笑いながら語る。
「だから諦めたんだ、期待すると辛いだろ?」
そうだね、貴方の気持ちはわからないけど。
「もう良いんだ、こんなものだって、
諦めたら楽になったんだ、本音でね。」
そんな風に笑う貴方は自傷的で、
何よりも哀しみに満ちてる様に見えるんだ。
「願わないから、奪わないでくれ」
それすら願いの一つだと貴方は気づかないまま。
祈るように零したそれを、
ただ月が嘲笑うように見ていた。
#月に願いを
それでいい。
それでも戦え。
#あの頃の不安だった私へ