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4/26/2026, 3:24:43 PM

善悪。
それは観測者によっていとも容易く逆転する曖昧な定義である。
歴史を守るためと言う大義名分があれば、人を斬ることすら善になってしまうのだからたまったものではない。
刀剣男士の行いとは、果たして善か悪か。
元より人間に使用されるための『物』。刀である俺たちは、使役する人間が善と言えばそれに従うまでなのだ。
だからこれは、今目の前で怯える幼子と必死に助けを乞う母親を斬り捨てる事は、歴史を守るための善行なのだ。
刀の付喪神ですらこの行為に若干の躊躇が生まれてしまうので、これは善行だと信じて言い切らなければその指示を出す人間もまともでは居られなくなってしまう。
己の定めた"善"が揺らいだ瞬間、人間は崩壊してしまうのだ。
他人の物語を無理やりに終わらせると言う自覚や覚悟のある者は、こうして日々人を斬り敵を屠って糧とする。
その敵にどんなに悲しい物語があろうとも、己の定めた悪に転じる物は同情の余地すらない。皆須らく悪なのだ。
その悪を滅する事に、僅かにでも躊躇いを覚える俺は悪に染まりつつあるのかもしれない。
今日も僅かな罪悪感と誉の桜を携えて、本丸へと続く門を潜るのだ。


【二次創作物 刀剣乱舞】