12/9/2023, 4:30:23 AM
「ありがとう、ごめんね」
改札前の券売機でSuicaにチャージをしている時だった。2000円をチャージしようと思い財布の中に手をかけている最中だった。
「すみません、コレ、お姉さんのですか?」
可愛い声に導かれ、後ろを振り向くと女の子が立っていた。小学校4〜5年生くらいで某学習塾の青いリュックを背負っていた。
少し不安そうな彼女の右手には茶色い手袋が握られていた。
「あっ、すみません。でもそれ私のじゃないんです。」
「そうですか。。。」
女の子がますます不安そうな顔になってきたので
「駅員さんに届けに行こっか!!ちょっと待ってね。」
と努めて明るく提案した。
急いでチャージを済ませて駅員のいる窓口まで一緒に歩く。
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「ではよろしくお願いします。」
私が駅員に事情を伝え手袋を預かってもらった。
「どうもありがとうございました♪」
女の子の方から先にお礼を言われ私も慌ててお礼を返した。
結果として手袋は私の物ではなかったけれど勇気を出して声をかけてくれた事。そして何より“お姉さん”と呼んでくれた事。本当にありがとう。
そしてごめんね、こんなおばさんに気を使ってくれて。
私は猛然と急行電車に乗り込んだ。
12/8/2023, 7:34:42 AM
「部屋の片隅で」
米粒が落ちている。今朝お米を研いだ時に落としたものかもしれないし、3ヶ月も前に落としたのかもしれない。
夕飯を食べ終え食器を洗っている時にキッチンの隅に米粒を見つけた。一通り片付け終わり、拭いた手はまだ暖かい。
すぐに拾ってあげられなくて申し訳ない気持ちになりながら幸助は米粒をそっと拾い上げゴミ袋に入れた。
12月の寒さが身に染みる夜、ニュース番組では高齢者が運転する車が学習塾に突っ込み男女5人が負傷した事を伝えていた。