明日世界が終わるなら#61
ある日、今日は星降りの夜、君の笑顔輝いている。
星の見える美しい空。今日はなぜか浴衣の君、いつか言っていた。
「いつか浴衣で星を見よう」ってね。
あれから何年経ったのだろう。
あの時の僕はいつも楽しくて浮かれていた。
流れ星も流れるふたりの世界。
ある日、今日は星降らぬ夜。
いつだってそうだった。
夏になれば無意識に空を見上げる星のない空へ。
あの時の記憶忘れたくても忘れられないよ。
あの時の君はいつも笑顔で僕も自然と笑顔になって、あの時の僕たちはいつも楽しくてさ。
でもさ、ほら今の僕を見てよ、流れ星なんて捕まえられない。
流れ星は流れない独りの世界。
あの時の僕たちはもう何処にもいないの。
僕があの頃好きだったあの子は?ねぇ教えてよ
流れ星は?浴衣の君は?あの頃の星空へ問う。
全て虚像の世界で僕の記憶は全て夢の中の御話。
明日世界が終わるならそんな夏祭りのような終焉がいいな。
僕の一番好きな御話みたいな最後の日。
二人だけの秘密#60
あなたは、「あの人のこと好きにならなきゃよかったな」そう言ってまた後悔を口にする。
私はあなたではないから苦しみの全部はわからないし、知り得ないけどあなたにはそんなことを言ってほしくないなって思う。
だって“あの人”のことが好きだった時間も否定しているみたいだから。
あなたがこぼした後悔の言葉はあなたと私の二人だけの秘密にしよう。
恋した時間も抱えて前を向いてほしいな。
流れ星に願いを#59
「あのね、ことちゃんね流れ星に願いを届けてあげないの。だってお星さまは私のこと見てくれないから。
私は太陽さんに聞いてもらうんだ。お話しのことはことちゃんと太陽さんの秘密。あかねえとはるねえにも秘密だよ。」
私は、ふとまだ明祢が生きていた頃に琴祢ちゃんが言っていたことを思い出した。
あれは一体何だったんだろうか。
今度聞いてみようかな、でももう何年も前だし覚えているかどうか。
ことちゃんか…また呼んであげたらどんなリアクションするだろう。
そんなことを思いながら眠りについた少し懐かしい気持ちになれた夜だった。
雫#58
ねぇ、わたしどうしちゃったのかな。
あの人の顔を思い出せないよ。
あんなに好きだったはずなのに、あの夏の夜に全部全部無くしちゃったもんね。
わたしが悪いんだけどさ。
あれ、なんで雫が垂れてくるのかな。
おかしいなぁ…この感情は去年に置いてきたはずなのに。好きの感情も、後悔の涙も。
桜散る#57
木々が恋する儚い時期よ、写真におさまる準備は万端かな。
君の左手つかんで走り出した花道、春風が背中押してくれた。
何気ないふりはもうやめたんだ。涙なんて似合わないさ、笑顔の花咲かせようよ。ほら、笑顔のが素敵だよ。
恥ずかしながらにみせたその頬にも桜色が見え隠れして、そんな些細な表情でときめくなんてね。
嬉しさを満開に咲かせて彩ってこの一瞬をフィルムに閉じ込めて振り返れたなら幸せだよね。
君との縁を未来まで結んでいたいよ。
桜散る時になってもそれは変えたくない願いだよ。