欲望なんて、あたしには関係ない。
〝欲張り″
そんな言葉を何度も聞いてきた。
あたしらしく生きるには
欲が必要なのに。
「あんたってほんと欲張りだねw赤ちゃんみたいw」
別に生き残るために必要なだけだから…
ここはまさに弱肉強食(⁉︎)
『欲望』
恋星ゆい🥺
「どうしてあんなこと言っちゃったんだろ…」
佳奈は列車に揺られながらそんな事を言っていた。
「佳奈、どうした?」
「ううん。なんでもない。それよりさぁ!引っ越し先って遠い街なんでしょ!どんなとこ?
「佳奈、落ち着いて。いまグー○ルに聞くね。」
「おお!いいとこじゃん!春っぽい!」
(お姉ちゃんも私も興奮してるけど、私の本心は興奮してないのよね…)
「ま、来週から新しい学校よ!制服可愛いんだってぇ〜!」
「…うん。」
佳奈ぁ!とお姉ちゃんはうるさい。だいたいこうだ。
ーーー
転校生の山畑佳奈さんだ。新しい学校の先生が話す。
「よろしくお願いしますっ!」
(なんだかここではうまく行きそう!改心して頑張ろっ!)
ーーー
何もうまく行かなかった…
一ヶ月経ったいまも友達は一人!でもその子はクラスの人気者だから別の子にすぐ取られて話せない。一応連絡先聞いておいたが話す内容がないからテストの範囲聞くくらいにしている。もううまく行かない!あと四年もここにいるなんて無理!
ーーー
二年が経過した頃、私は重い精神病になっていた。不治の病と言われる精神病だ。定期的に病院に通うことにした。
ーーー
その7年後、あまりに重いので入院することになった。担当医の先生が代わり、新米らしき人だった。その先生とは馴染めたが、ある日先生の〝正体″に気がついてしまった。
(正体は前話参照)
恋星ゆい🥺
「私、転校することになった!」
佳奈の発した言葉は衝撃的な言葉だった。
ーーー
「佳奈。放課後つきあってくれる?」
私は佳奈と一緒に街に行こうとした。
「懐かしくない?ここ。」
「…」
「佳奈、なんか言葉を発してくれ…」
「嫌にならないの?」
「嫌って、なるわけ…」
「何も言ってないじゃない!」
「私が転校するからって言ったのに言葉を発さないのはそっちでしょ!」
そう言って佳奈は風に揺られながら遠くの街に向かって行った。
ーーー
私が大学を卒業して病院に就職した頃だった。一人の不治の精神病と闘う同い年の人の担当医をすることになった。その人とはすぐ馴染めたもののある日正体に気がついた。その人は
「もしかしてなんですけど、佳奈…?」
「あ、はい」
「ゆい?もしかして。」
「うん。そう…ですけど。」
「「あっ!」」
恋星ゆい🥺
現実逃避ってなんだろう。
よくわからない。
勉強をしないこと?
嫌なことを忘れること?
現実逃避というのはそもそも
ひとりひとり違うものなのではないか。
私の現実逃避は学校に行かないこと
そして保健室にいること
クラスメイトから逃げること
でもそれは私だけの現実逃避
友達や他の人とは全く違う。
ー自分だけの、〝現実逃避″
クラスメイトから、同僚から、仕事から、勉強から…逃げて逃げて逃げまくって自分が成り立つ。
逃げることはきっと大事なこと。
逃げちゃダメな時もあるけど。
「にげていいんだよ」
恋星ゆい🥺